Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

露太本線の良く解るポイント切替電気講座①

前回予告の『露太本線の良く解るポイント切替電気講座』を開講します。 この講座は、電気が苦手の方を対象にして、解り易さ優先で詳細説明を省き、不要な部分を丸めて説明しますので、専門家からは突っ込み処がある事を、予めご了承ください。


第一章:ポイント切替の動作原理
1-1.ポイントマシンの動作原理
最初にポイントマシンの動作原理について説明します。

皆さん小学校高学年理科の授業で「電磁石実験」を経験していると思います。 5寸釘を紙絶縁してエナメル線を巻き(コイル)両端に電池接続すれば磁石になって鉄製クリップを吸引し、電池接続を外せばクリップが落ちる実験です。 電気が磁力に変わる事を学ぶ実験で、ポイントマシンもこの原理を応用しています。

図解より現物が解り易いので、1960年代16番用ポイントマシン写真を使います、現在のN用ポイントマシンと同じ原理でサイズが違うだけです。 電磁石ABが横に2個並び、中空部に可動鉄芯が入ったソレノイドと呼ばれる部品です。 端子A-C間に電源接続すれば電磁石Aが作動し、端子B-C間に電源接続すれば電磁石Bが作動します。

横から見た写真です、鉄芯は手前の電磁石B側にあります。

再び正面から、ソレノイド鉄芯は電磁石Bが作動していなくても、鉄芯連結アームに取り付けられた状態保持バネにより右側に留まり続けます。 アームにはポイント切替バネ穴と、付加機能としてコントロールパネル開通方向指示パイロットランプ用スイッチが付いています。 この状態で端子A-C間に電源接続したらどうなるでしょうか?

電磁石Aが作動し、鉄芯を状態保持バネを伸ばす強い力で引き寄せ左側で停止します。 アームに取り付けられたポイント切替バネ穴位置が下方へ8mm移動しパイロットランプ用スイッチも切り替ります。 16番ではポイント切替バネ穴とトングレールスライダー穴を市販の安全ピン状バネで接続して約3mmのトングレール移動を切り替えました。


レイアウト組込はポイントマシンを道床裏や基台下に設置し動作メカは自作前提でした、マシン内蔵ポイントなど夢のまた夢、現在はその夢が実現した時代です。

横から見ると電磁石A側に引き寄せられた鉄芯は見えません。 以上がソレノイド型ポイントマシンの動作原理です。 ここで重要な点は各ポイントに端子A(電磁石A作動線)端子B(電磁石B作動線)端子C(共通線)の配線3本が必要だという事です。


1-2.Peco配線3本、KATO/TOMIX配線2本なぜ違う?
筆者はPecoポイントマシンを見た事も、KATO/TOMIXポイント分解調査経験もないので100%保証はしませんが、各社ポイントマシンは前項ソレノイド型です。 ではKATO/TOMIXは何故配線2本で動くのか?、その当然の疑問にお答えします。

端子ABCをそれぞれ配線ABCでポイントスイッチに接続した模式図です。 Pecoは配線3本なので、骨董品16番ポイントマシンと同じ方式です、大きな欠点が2つあります。
①ポイントとスイッチが離れている場合、配線3本と2本では手間が大きく異なる。
②配線Cを誤配線すると正常に動作しない、中間テストです《誤配線で何が起こる?》

 《例えばBとCを間違えたらどうなるかお考えください、答えは一番下にあります》


鉄道模型市場を拡大し、レイアウト製作を推奨したいKATO/TOMIXが問題視したのは①より②です、誤配線で正常動作しない配線3本は誰でも簡単に使えないからです。 そこで開発部門に「配線2本で簡単に使えるポイントを開発せよ!」と指令が下りました。 「見てきた様な嘘」でなく「見てなくても解る本当」だと思っています。


新方式設計にかかった時間はどのくらいだと思います?、筆者と同じわずか1分です。 メーカー技術者の開発テーマに対する優先順位は明白です、趣味なら独自のこだわり回路も結構ですが、メーカー技術者がそれをやったら首になります。
①実績ある従来技術をベースにする、それができない場合にのみ新規開発する。
 ・・・開発と品質・寿命評価に係る「時間」「人」「お金」を大きく削減できる。
②低コストで目的を達成する。
 ・・・企業は金儲けが仕事、これ当り前。

筆者やメーカー技術者が1分で辿り着く結論ダイオード4本追加です。 実際の使用部品や細部は違っても我々ユーザーはマシン内蔵ポイントをブラックボックスと見れば十分なので、電気的には等価(全く同じ動作をする意)です。


上図は配線Aが電源(仮定12V)配線BがGND(0V)時の動作説明図です。 ダイオード導通時の電圧降下(両端電圧)を0.5Vと仮定すると、D3とD1がONして電磁石Aが作動します。 D4とD2は逆方向電圧がかかるのでOFFしたままです。

次は配線Bを電源、配線AをGNDに反転時の動作説明図です。 今度はD2とD4がONして電磁石Bが作動し鉄芯を引き寄せます、D2とD4は逆方向電圧でOFFしたままです。


こうしてKATO/TOMIXは誰でも簡単に使える電動ポイントを開発し市場拡大に成功した訳です。 ところで、このダイオード4本による配線2本化はPecoに応用可能です。


★おまけ・・・Pecoポイントマシンの配線2本化技法
前例調査してないので新技法かどうか不明です、筆者コメントを以下にまとめます。
①使用ダイオード(秋月電子通商リスト掲載の最適品)
・商品コード:I-07788
・商品名:ショットキーバリアダイオード SB340LS
・仕様:40V 3A Vf=0.44V
・価格:30円/1本
・サイズ:Φ3mm 長さ6mm
②筆者コメント
・ポイントマシン動作電圧
 メーカー指定+約1Vで純正ポイントマシンと同じ動作になります。
 電圧を変えなくとも設計マージンにより問題なく動作すると思います。
・ポイントスイッチ
 現品とストレージオシロ未所有なので100%確実な助言ができませんが、
 KATO/TOMIX製ポイントスイッチが使える可能性が高いと考えています。


★頼まれもしない講師より
この後1-3.ポイントスイッチの動作まで進め第一章完結予定でしたが、今回は一旦ここで切ります。 電気が苦手な対象読者の皆さんが『何が解らないか解らない』のと同様に、筆者も対象読者が『何が解ってないのか良く解らない』、言い替えれば言葉が通じているのか?、本当に解り易い講座になっているのか?、今一つ自信を持てないのです。 そこでお願いですが、歯に衣を着せぬ率直な感想をお寄せください。
(お願いして恐縮です、本日外出予定があり公開と返信は夜になります)


☆難しくて良く解らない・・・筆者は講師落第ですね。
☆大体解るけどココもう少し詳しく・・・掲示板回答又は後続記事で補足説明します。
☆解り易い・・・講師及第点です、とてもが付いたら評価◎優です。
☆コンデンサ切替の話を早く・・・最低限の基本は必要です、少々お待ちください。


・個別案件質問相談(公開責任として受け付けます)
 『個別相談』と明記し連絡先メアド添付で拙ブログコメントへお寄せください。
 掲示板非公開とし個別対応いたします、相談料は高いですよ、なんてね。(爆)


《中間テストの答え》一度電磁石B側に切り替わってそのまま動作しなくなる。


ではまた。

×

非ログインユーザーとして返信する