CLK講座 基台の設計と製作
今回は前回に続き調達した1x4材、2x4材を使ったレイアウト基台の組立法解説です。 前回更新でスタイロフォーム利用基台は絶対的強度不足で、配線収納スペース確保不能で本講座対象外にした事に対し、『一読者』さんからコメントを頂戴しました。
40年間の空白を経て2013年~2014年にレイアウト製作最新事情調査し、スタイロフォーム基台が多く採用されてる事に驚かされました。 当社は屋根裏固定式で木製基台と決めてた事もありますが、調査時の関連技法や実際にレイアウト素材として40mmスタイロフォーム使用実感から強度不足と判断し、安価な材料で頑丈な木製基台作ろうよと除外しました。
お話を伺うと『一読者』さんは実際にスタイロフォーム基台レイアウト製作者で、仰る事はいちいちご尤も、先行事例は知らないし独自技法かは不明と仰ってましたが、ボール紙敷いた上に線路敷設は正に目からウロコで、これなら使えそうだと思える様になりました。
折りしも先工程で背景板設置で、畳1枚が半分にしかならない『名ばかりの立掛け収納式』になるのをどうするか悩んでた処でした。 方針変更し、前回と今回は立掛け収納もできる頑丈な木製基台、次回『一読者』さん情報に基づく、軽量スタイロフォーム基台製作法解説に変更します。 良いと思ったら自説を捨てる勇気も必要、何~て節操がないだけかも。
【TMS表紙を飾ったレイアウト】
★調達先の追加作業
では本題です。 基台台枠と天板材選定が終わったら会計前の追加作業があります。 1x4材と2x4材を購入店のカットサービスを利用し、手間を省き基台精度を高めます。
【カットサービスで正確に切断】
¥20/1カットで、全部で¥120(¥80)ですから、利用しない手はありません。
◆1x4材5本のカット【固定足の場合】
⓵AB2本揃えて1,820mm長にカット。
②CDE3本揃えて872mm長にカット。
③CD残材を揃えて872mm長にカット。 E残材約950mm長は余剰になります。
◆1x4材6本のカット【脱着・折り畳み式足の場合】
⓵AB2本揃えて1,820mm長にカット。
②CD2本揃えて910mm長にカット。
③CD残材とEの3本揃えて872mm長にカット。
④E残とF材2本揃えて872mm長にカット。 F残材約950mm長は余剰になります。
◆2x4材1本のカット【固定足の場合】
④Gを915mm長2本、G1・G2にカット。
⑤G1G2揃えて400~450mm(足の長さ)長にカット。
⑥G1G2残材を揃えて⑤と同寸カット。
【中央駅嵩上げ用30mm厚断熱材】
定尺天板6mm厚合板は加工せずに運搬します。 ワゴン車でなければ無理で、NAFCOさんは購入長尺材運搬用軽トラ無料貸出しサービスがあり、筆者も利用しました。 線路敷設に必要な30mm厚断熱材も、保管場所があるなら同時調達しましょう。
【筆者調達硬質断熱材】・・・左手前スタイロフォーム
調査日はスタイロフォームしか置いてませんでしたが、スタイロフォームより密度が高く、指で押しても凹み難い硬質断熱材(カネカフォーム等)の方が直接敷設に適し、削って道路表面や築堤法面の風景製作素材に使えて便利てすので、探してください。
【カット端材は財産】
カットサービスで出る木っ端を必ず持ち帰りましょう。 お金を払った購入品ですし、必要部材切り出した余材とは言え、寸法精度が高い加工材です、何処で役立つか解りません。
★基台台枠設計図
基台形式と材料調達を先行し、設計図公開がまだでした。 設計図は建物完成図と同じで『完成したらこの姿』を表すだけで、製作法が解らなければ意味が薄いからでした。
固定足台枠は1x4材1,820mm長横材に872mm長縦材5本を上図の枠組みに組み4隅に2x4材足を付けます。 足が枠組みL字金具の役割を果たし、台枠単体で強度を出せ、横材・縦材に天板ビス止めする事で盤石な強度の基台になります。
足は430mmで図面化してます、天板6mm厚30mm嵩上で駅構内標高466mmになります。 使い易い高さで材料調達前に足長さを決め、カットサービスで指定してください。
脱着・折り畳み式足台枠は、固定足と同じ枠組みに910mm長1x4材を両端3面に付け、それを脱着式または折り畳み式足取付台にする構造で、台枠強度は固定足より高くなります。 脱着式足に昔どの家庭にもあった電気炬燵のネジ込み式足と座金を流用できるのではないかと物置を探しましたが発見できませんでした。 多分流用可能だと思います。
★基台組立前工程
木工工作は『段取り八分』で、全体工程を考え必要な前準備・前加工する事で順調に進みます。 最初は長手横材2本の台枠表面を決め、裏面を上に2本並べて床上に置きます。
1,820mm長に上図15本をケガキます。 15本中6本は位置合わせ用補助線、9本が下穴中心線です。 寸法精度は±1mm程度は許容範囲ですので、神経質になる必要はありません。 01/03/05/08/11/13/15の7本には板幅上下から20mm位置に2.5mm穴を垂直に空けます。 02/14の2本には板幅上下から30mm位置に2.5mm穴を垂直に空けます。
つまり1,820mm長横材の両端はこんな形になり、片側に下穴各6個、中間にも6個、全部で18個の下穴を空けます。 続いて縦材です、まず5本から両側面用を2本選んでください。 台枠表面を決め、裏面を上に2本並べて床上に置きます。
872mm長の両端から20mm位置に下穴中心線をケガキます、寸法精度は横板と同じです。 2本の板幅上下から25mm位置に2.5mm穴を垂直に空けます。 下穴は2枚で8個です。
★台枠組立
下穴空けはアバウトでOKでしたが、組立は位置合わせ直角出しを正確に行わないと、基台にガタが出たり、天板水平面が狂うので慎重に行ってください。 組立最初の工程は2x4材足に側面縦材取付作業からです。
2x4材足の38mm厚面を上にして1x4側面縦材を重ね、上図赤ライン部の直角出しと面合わせを正確に行ってください。 ここで台枠組立の条件出しをします。 +印下穴を通し2x4材に下穴を15mm空け、コーススレッド試し打ちします。 完全に打ち込めればOK、打ち込めずインパクトドライバーが空回りする場合は、逆転してコーススレッドを抜きます。
コーススレッド打ち残し量に応じ2x4材下穴を深くし、完全に打ち込める下穴深さを見極めてください、ここは道具と使い方、体で覚えるしかない領域です。 条件出しだ出来たら、その条件で+印4本を締め、反対側2x4材足と1x4材側面縦材を同様に組み立てます。
【2x4材・1x4材組合せ当社台枠足】
当社台枠足組立時は2.5mm下穴だけでは締め切れず、1x4材下穴を3.0mmに広げて締め切りました。 2.7mmか2.8mmに下穴を広げるのが本筋で、ドリル刃がない緊急避難策でした。 3.0mm下穴部はコーススレッドの利きが甘いと思いますが、強度には影響ありません。
組立完了した足と側面横材を、足底を上にして平坦な床上に置き、1,820mm長横材を1ヶ所4本のコーススレッドで取り付けます。 両側横材この形で取り付けても良いですし、片側横材取付後に注意して天地返しし、足にガタが出ない事を確認しながら残り横材を取付する方法もあり、こうすれば後で足高調整する必要がありません。
【TMS表紙を飾った車両たち】
中央3本の横材は足裏を上に向けて取り付けます。 横材内側のケガキ線に横材を合わせて下穴を空け、片側6本全12本のコーススレッドで締めれば裏返し台枠の完成です。
★天板貼り
台枠上に6mm厚天板貼れば基台完成ですが前工程があります。 天板用6mm厚合板表面を決めて表面を上に床上に敷き、その上に裏返しの台枠を乗せ位置合わせします。 台枠下に見える天板境界を鉛筆またはサインペンでスミ付けします。
台枠を外した天板には上図の様にスミ付けされてます。 台枠を正立させ天板を上に乗せて位置合わせすると、スミ付けが天板を固定する台枠の横材・縦材位置を表してます。
天板ネジ止め位置を+印で示しました、台枠に打ち込んだコーススレッドと干渉しない位置でネジ止めするのがポイントです。 中央上部トラス橋下をV字カットして水流路の標高差を6mm稼いでます。 下穴空けドリルが汚れるので、木工用ボンド併用しません。
25mm木ネジを使い、15mm下穴を空けて締めますが、そのままではネジ頭が基台天板より高くなってしまいます。 下穴開けた後に天板表面を約1.5mmザグリます。
使用するのは左基台穴開け用木工用10mmドリル(少々大きい)か、若干小さ目の右6.3mmドリルを使います。 6.3mmドリルはDCジャック・トグルSW・パイロットランプ等の電子部品取付穴開け用に所有しており、制御盤製作等に重宝してます。
ザグリをしてから天板をネジ止めすると、ネジ頭が基台上に飛び出す事なく、線路敷設精度やストラクチャ配置が楽にできる様になります。 今回は毛色の変わった木工工作で、安価な材料を使ったレイアウト基台製作法を解説しました。
ではまた。




















