Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

CLK講座 勾配と標高の設計❶

定尺小型レイアウト設計は、本線線路配置設計をタイプ別に3案設計事例を解説しました。 次に各案の勾配を設計します、走行性能や風景設計に大きな影響を与える重要要素です。 周囲の風景製作をどうするか、走行車両がどう見えるか想像しながらお読みください。

【TMS表紙を飾ったレイアウト】

ところでこの講座の人気はサッパリで、アクセス数はそこそこですが注目記事ランキングもINポイントも伸びません。 KATO小型レイアウトのニーズは低いのでしょうかね。 2位で下げ止まってた人気ランキングが、講座開設以降3位定位置になったりしてます。


TOMIXで鉄道模型を始め、『レイアウト作りたいけどTOMIX品質は問題ありの評判多々、でもKATOで作れるかな』のレイアウト製作予備軍はかなり居るハズです。 数年後(10年後?)役立つならそれでも良いと考え直し、地道にわが道を進む事にします。


★基準勾配の決定

最初に筆者経験(失敗事例?)を紹介します。

30年前のお座敷運転時代にS248・R315・R348高架線路と共に橋脚セットを使ってました。 線路1本当たり10mm標高差、両端5mm差の緩和勾配で50mm高くする橋脚セットです。 『ある物何でも活用』のレイアウト建設でしたので、トンネル内に敷設しました。


なお実物の鉄道勾配は、平坦から徐々に勾配を強め本勾配に移行する様に敷設されており、『勾配移行区間』はあっても緩和勾配はありません。 道床付レール敷設レイアウトの場合は、勾配始点の屈曲部が走行性能に悪影響与えない様に、20‰を超える勾配変化点に本勾配半分程度の『緩和勾配区間』を車両1両分程度設けて脱線等を防止してます。

【当社ダブルループ線線路敷設図】

図赤丸が上り勾配開始点で、反時計回りにR315x4本で標高35mm、その先R348x5本で標高80mmに到達します。 敷設完了後試運転で問題ありませんでしたが、レールクリーニング液塗布後、R315勾配区間でD51牽引5両編成客車列車の軽い空転が発生しました、R358勾配区間では発生せず、レールクリーニング液乾燥後は問題なかったので修正してません。

【空転発生現場】・・・手前40‰区間

R315/45度線路長は247mmで直線S248とほぼ同じです。 10mm標高差は40‰勾配になります。 当初設計の120mm標高差を、トラス橋上天井クリアランス確保で110mm標高差に変更し40‰勾配は不要でしたが、思わぬ形で登坂力限界を知りました。 R358/45度は線路長281mmで勾配36‰、空転発生皆無だった事から、40‰が上限と考えられます。

【スイッチバックの本線勾配33‰】

スイッチバックは急勾配ほど標高差が大きく面白い風景になりすが、33‰敷設にしまた。 設計中の定尺小型レイアウトは、まずR282/45度線路長を知る必要があります。

計算すると221mm、10mm標高差は46‰で限界値超えでNG、8mm標高差が36‰となり丁度良いので、R282/45度1本の基準本勾配8mm標高差、緩和勾配4mm標高差で18‰ にします。 勾配区間に直線が含まれる場合はS248の36‰/18‰は9mm/4.5mm標高差になります。


★ループ線本線の勾配と標高の設計

勾配設計図面は勾配始点を、緩和勾配入れて本勾配、最後に緩和勾配入れて勾配終了点をで表示してます。 白抜き数字が線路接続点標高です、緩和勾配はR481/15度・S124 の124mm長で十分ですが、使用線路の制約条件からR282/45度を使用しました。

【ループ線本線の勾配設計-1】

ループ線本線配置は、中央から左側の広いスペースが特徴で、事前に風景製作構想がないと、空きスペースは線路で埋めてしまった方が楽だったの結果に陥り易い物です。 従って線路配置決定と同時に風景設計を行う事をお薦めします。 逆に風景製作への強い思い入れがないのであれば、線路密度が高く運転に主眼を置いた他案をお薦めします。


フラットトップ基台面に中央駅構内を直接敷設する一般的方法採用例が1案です。 ループ線本線の立体交差は1ヶ所、勾配始点は右上ループ線接続部、R 282/45度7本で標高48mmに達します。 左側は駅端ポイントが勾配始点で、左奥標高32.5mmから33‰、3連鉄橋終端まで496mmが18‰緩和勾配で標高48mmに達します。 つまり勾配区間の鉄橋です。

【16.7‰勾配区間の鉄橋】

川の下流域の鉄橋は水平が普通ですが、上流域に架かる鉄橋は勾配区間が普通にあり、当社ではループ線内を一部水平にして、鉄橋に16.7‰(1/60)勾配を付けてます。 この1案は敷設が容易ですが、如何にもレイアウト的な平板な風景になる傾向があります。

【線路基準面より低地の風景例】

レイアウトは基台面が基準面になりますが、自然には海抜以外基準面がなく、起伏に富んだ大地が先に存在し、鉄道は自然に合わせ建設されてます。 この視点に立つと、基台面線路敷設は線路より低地が存在せず(線路を高くしないとできない)、風景製作は上一方向だけに限定され、線路同一面か高い位置のストラクチャに囲まれた画一的風景になります。

【ループ線本線の勾配設計-2】

より自然な風景製作を可能にするのが2案で、中央駅構内を20mm高くする敷設法です。 ループ線内勾配は1案と同じで、右奥から中央駅標高20mmへ、図は左側の駅端ポイントが勾配始点で、左上R282/45度終了点で標高48mmに達し、3連鉄橋は水平になります。


20mm厚断熱ボード上に中央駅構内を敷設する方法で、右下コーナー部低地、ループ線へ駅から下る地形など、上下に『盛る』と『削る』双方の立体的な風景製作になります。

【ループ線本線の勾配設計-3】

3連鉄橋に勾配を付ける案を採用したい場合は、左横短直線先を勾配始点にすれば可能です。 レイアウト勾配は立体交差クリアランス確保が主目的ですが、何処に勾配を付け各部の標高をどうするかで、完成時の風景が大きく異なってきます。 ここは製作者専決事項ですので、筆者は選択肢の提示に留めます、良いと思う方法をお選びください。


★ダブルループ線本線の勾配と標高の設計

ダブルループ線本線配置は標高差が大きい地形製作可能なのが特徴で、特に奥のトラス橋下を深くできるのが魅力です。 左右対称線形なので、トンネル出入り口位置や左右の山容を変えて風景変化させる必要がありますが、駅前は広く開けてるので風景製作は容易です。

【ダブルループ線本線の勾配設計】

右ループ線は右端短直線先が勾配始点、R282/45度10本とS38で標高73mmに達します。 駅端ポイント勾配始点なら標高93mにできますが、1番線ホーム両端通過ループ線標高が57mmになり風景製作が難しく、勾配だらけレイアウトになるのでお薦めできません。


左右対称本線線形なので、左ループ線はループ接続部を勾配始点、R282/45度8本で標高60mmに、27‰緩和勾配を経て3連鉄橋18‰勾配で標高73mmに達します。 左右勾配差で風景差を生み出します、また全体を20mm嵩上げし、鉄橋下を深くする方法もあります。 8の字エンドレスは線路配置設計だけでなく勾配設計も難しいので次回にします。


ではまた。

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