CLK講座 本線線路配置設計
定尺サイズ小型レイアウトにユニトラック敷設で、6両編成停車可能な中央駅設計と、市販ストラクチャを利用し、ホーム一部改造して・駅舎・跨線橋製作法解説が終わりました。 今回はレイアウト設計最大の難所、本線の線路配置設計です。 作ってみたくなる様な魅力溢れる物でなくてはなりません。 腕によりを掛けて取り組みました。
【TMS表紙を飾ったレイアウト】
★本線線路配置
定尺サイズ基台にオーバル型エンドレスを敷設すると一周約4.3m、列車周回時間30秒ほどです。 運転を楽しむには短く、変化に乏しいので本線を長くします。 小型レイアウトで良く行われてきた本線距離延長方法は、大きく分けて3パターンあります。
最初は折り畳みエンドレスで本線距離は約2倍になります。 平面交差を使わない限り立体交差(オレンジ丸)が発生します。 距離は長くなりますが、列車は常に同方向カーブ走行で、風景変化には立体交差をトンネル内部にせず中央奥に配置し、見せ場にする方法があります。 線路立体交差は都市近郊にしか実在しませんが、レイアウトなら許されます。
レイアウト手前、駅と並行に長い直線が走ります。 駅舎手前側なら高架ホームの駅一部にする逃げ手がありますが、今回の駅構内設計では一番手前に高架通過線が一般的手段です。 しかし基台幅一杯を駅両側本線が占有し勾配設計に無理があり使えません。 また機関庫の設置を諦めなくてはなりません。 と言う訳でこの方法はボツになりました。
2番目は8の字エンドレス折り畳みで中型レイアウト採用例が多い線路配置です。 リバース線組み込み事例(本講座ではリバース線不採用)が多く、本線距離は2倍強になり右へ左へカーブする走行列車の風景変化を楽しめます。 運転重視主義製作者向けです。
ただし小型レイアウトのスペース制約に加え、市販レール敷設の条件で8の字エンドレスを線路過多感なく組み込むのは非常に難しいです。 筆者検討事項として挑戦します。
3番目はエンドレスにループ線を追加し本線距離を約1.4-1.5倍にする方法です。 標高変化で風景にメリハリができますし、ループ線側は山、反対側は町や農地の区分が容易で、小型レイアウトに最適です。 風景製作を重視する製作者にお薦めします。
筆者は線路密度を低くし風景製作重視主義ですが、それを人に押し付ける気はサラサラありません。 従って『線路は多い方が良い』運転重視主義製作者向けの本線線路配置案も設計します。 ひと手間掛けて風景を魅力的にするアイディアも提案しますので、ご賛同いただければ採用し、無視しても結構です。 ではループ線案をベースに発展形を考えます。
小型レイアウトとは言え、固定式レイアウトには目玉になる見せ場の風景が欲しい物です。 制約条件が厳しいですが、大鉄橋設置可能の条件を加えて設計します。
【峡谷大鉄橋】
当社従来線見せ場の一つは、峡谷に架かる3連大鉄橋です。 小型レイアウトに設置すれば目立つストラクチャになります。 大鉄橋と言っても実物換算80m足らずですがね。
【通過型スイッチバック本線と引込線】
大型レイアウトの特性を活かした通過型スイッチバックも見せ場の一つで、基台長手方向4mを目一杯使って設置してます。 筆者レイアウト建設の外せない条件でした。 それでは本線線路配置設計を順を追って解説します。
【両サイドに124mm直線追加】
さて、駅から両方向に伸びた本線R282各2本は基台幅ギリギリを通過し、15度傾いた位置に達してます。 基台4辺平行に線路敷設されたレイアウトがほとんどですが、15度の傾きを風景変化に活用する設計をします。 その先にS62x2本の直線を接続します。
この1両分足らずの直線は奥方向905mmのサイズ厳守には非常に不利になりますが、大きな三つの役割があります。 それは以下三点です。
❶180度連続カーブの単調さを改善し、走行列車の見え方に変化を与える。
❷ループ線と駅構内線の干渉を避け、クリアランスを確保する。
❸フィーダーレールS62F設置場所を確保する。
【曲線間の短直線】
当社南基台の列車走行風景です。 左手奥からR718・R481の30度で186mm長鉄橋を渡り、R348/45度カーブ、そこにS64x2本の短直線を挟んでR348/45度・R481/15度・R718/15度とカーブが連続します。 R348/45度間の128mm直線の効果を実感できる画像です。
【一気に奥へ】
余裕の少ない小型レイアウトなので、短直線の先はR282/45度2本で一気に奥へ、15度傾いたその先にも102mm長の短直線を敷設します、目的はこの後に明らかになります。
【基台位置合わせ込み】
ここまで定尺を余裕を見て905mmx1,810mmとして設計を進めてきましたが、量販店で基台台枠・天板材料寸法を確認し、910mmx1,820mmで行けると判断し、この寸法で位置決めします。 左右両端は限界寸法15mmを+5mmの20mmにして1,820mmです。
レイアウト奥方向は敷設したR282カーブ頂点なので、基台を留置線が基台端から20mm位置にセットして様子見しました。 留置線設置位置は左右両端と同寸法で、車両落下破損防止には不十分ですが仕方ありません。 奥の余裕は57mmになりました。
【スイッチバック発着線と背景板距離50mm】
筆者製作経験では、基台奥は風景製作の為に最低50mm必要で、確保できない場合は留置線進入部S124を短縮か除去して、3番線との間隔を狭くして基台奥を50mm以上確保する計画でした。 57mm確保でくたので、オプションとした留置線は、そのまま正式採用です。
【生野駅機廻線-留置線間72mm】
留置線と3番線間は79mmに設計してあります。 当社生野駅機廻線-留置線間は72mmで、機廻線建築限界ギリギリに詰所配置し、手前側に通路確保してます。 裏にも詰所扉がありますが、危険で通行できない位置関係です。 詰所配置を考えての79mm間隔でした。
【KATO構内建物セット】
蒸機運転をするなら、左下機関庫は機関車駐泊所、最低給水塔と乗務員詰所、線路班詰所が必要です。 給炭台設置駐泊所も多くあり、設置するなら燃料係詰所が付属します。
【ポイント・信号機梃子小屋】
蒸機運転なしでも、入庫機関車の乗務員詰所は必要で、機関庫・留置線ポイント・信号機の梃子小屋設置できますし、梯子・交換用レール・枕木など駅関連小物設置で、レイアウトの雰囲気、特に夜景の魅力が大きく高まります。
【本線エンドレス接続】
KATO4番ポイントにはR481/15度が付属してます。 ポイント7個で駅構内にR481/15度4個使用、余剰3個の2個を本線に使用し、Sカーブを作って本線エンドレスを完成させます。 正面奥の直線は562mmになりました。 これが本線線路配置のベースになります。
【ループ線追加】
右上S38+S64を外し、R282度レール8本敷設するとループ線ができます。 右端S62x2本で駅構内とのクリアランス確保、右上S386で本線とループ線のクリアランス確保、右上S64でループ線出口Sカーブ通過性能向上する設置目的が解ると思います。
奥の直線が3連鉄橋設置可能にしてあります、お好みでトラス2連も選択可能です。 これをA案とします、運転重視主義製作者には物足りないと思いますが、ここからです。
【両側ループ線も可能】
左右対称形本線エンドレスなので、左側にも角度を振ったループ線設置可能です。 両側山の風景で、トンネル2ヶ所になりますが、標高の高い岩山と低いなだらかな山の組み合わせで風景変化付ける事は可能です。 本線距離はボツにした折り畳み案と同じ約2倍です。
これをB案とします。 本線線路配置案単独としてもアリですが、運転重視主義製作者向けの切札、8の字エンドレス折り畳み配置のベースにもなります。 これまでのユニトラック設計経験を総動員して挑戦しますが、どうなる事やら、少々時間をください。
ではまた。

















