Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

TOMIX新ポイントはレイアウトに使えるか?

他の部品と一緒にTOMIX新ポイント発注したら翌々日に届きました。

【KATOレールとツーショット】
箱が余りにも小さいのでZゲージ用ポイントかと勘違いし、通販店に問い合わせました。 間違いないとの回答を得てから開梱しました。

箱から出すと段ボール緩衝材で保護されたポイント本体と付属品小袋、そして取説が入ってました。 旧ポイントは中が見える大きさでしたが、全て省資源になってる様です。

ポイント取り出して見ると、枕木変わっただけでなくフログ周辺に違和感があります。

【TOMIX『完全選択式』旧ポイント】
TOMIX『完全選択式』旧ポイントとフログ周辺が明らかに違います。 旧ポイントフログも決して実感的とは言えませんでしたが、金属部分が減りプラ部分が増えてます。

フログ部分を拡大するとレールでフログが形成されてません。 KATOポイントで解説した様に『スプリングポイント機能』実現にはフログ非給電無電区間化が必要だからです。 KATOは形状きちんと作り、ネジ締め位置でフログ通電ON/OFF、TOMIXは手抜きのフログプラ化で無電区間化してます。 両社の物作り思想の違いが良く表れてます。

【TOMIX旧ポイント取説より】
旧ポイントはフログ先に完全選択式ギャップがあり、フログは非通電無電区間でした。

【TOMIX新ポイント取説より】
新ポイントはフログ部に完全選択式ギャップがあり、明らかに違います。  事前予測は『フログ周辺設計変更して無電区間を短くしただけだろう』で、予測的中でした。

ご覧の通り無電区間フログ4端ギャップ位置は同じですが、直進側・分岐側レールギャップ位置はトング側へ移動し、フログトング側に一直線に並んでます。 『完全選択式』旧ポイントは非開通方向からの進入を想定せず設計され、潜在的な『スプリングポイント機能』を発揮できかったと言えます。 つまり設計ミスで失ってた機能発揮の設計改善です。


手元に旧ポイントがなく調べ様がありませんが、フログ構造かギャップ位置に問題があったのでしょう。 『完全選択式』旧ポイントの設計ミスを修正しましたとは言えないので、『完全選択式ポイントの設計改善によりスプリングポイント機能を実現しました』が、因果関係を明確にした、誤魔化しのない正しい表記です。

一体何時からこの製品に切り替わったのか調べると何と2016年10月、8年半も前でした。

【2016年9月18日更新記事より転載】
レイアウトには使えないと判断したスイッチバック用ポイントは完全選択式旧製品で、購入したのは2016年9月、翌月新型に変わってたと解りました。 ファイントラックは使い物にならないと考えたにせよ、9年近く気付かなかったのは迂闊だったかもしれません。

【TOMIX旧ポイント取説より】
ファイントラックは絶対使わないと決めたのは、レイアウト製作推奨しながら、レイアウトへの使用は自己責任で、当社は一切関知しませんというTOMIXの企業姿勢でした。

【TOMIX新ポイント取説より】
新ポイントの取説は門前払いだった旧ポイントに比べ大幅に改善されてます。 レイアウト組み込み時の留意事項や注意事項が、どの様なリスクがあるかを含めて記載されてます。 大幅改善には拍手、と言っても、ようやく世間水準に追い付いたとレベルですが。

テスター計測で、TOMIX新ポイントの定位(直進側)、反位(分岐側)切替時の各部導通は上図の様になってます。 開通方向両レールに給電し、フログと非開通方向は非給電です。 トング側からフログ終了点まで、KATOポイント非選択式、フログOFFと全く同じです。

【前号より転載】…KATOスプリングポイント機能
KATOをトング側から非開通方向へ給電する『自己完結型スプリングポイント機能』と呼ぶなら、TOMIXは非開通方向進入列車の電源に頼る『他力本願型スプリングポイント機能』と言う事ができます。 手段が違うだけで『スプリングポイント機能』に差はありません。

次は分解して内部構造チェックです、果たして切替不良・通電不良を改善する変更は行われてるのでしょうか、裏側5本のネジを外せば分解できます。

【TOMIX旧ポイント】
道床金型はフログ回りやギャップ位置変更で違う様ですがネジ位置変更はなく、同じ形状の基板を使ってます。 なおTOMIXポイントは簡単に分解できますが、KATOポイントは特殊ネジで簡単に分解できない様になってます。

ネジ5本外し分解しました、基板形状と穴位置、電流容量の大きい銅箔70μm厚プリント基板は同じです。 トングスライダーとそこにマウントされてる完全選択切替SWも変更なく、旧ポイントと同じです。 基板レジスト有無が違いますが、信頼性には無関係です。

【TOMIX旧ポイント】
レジスト有無の他に、左側ネジ2本付近で錯綜してたパターンが単純化されてます。 これは回路変更ではなく、ギャップ位置変更に伴うバネ位置変更の影響です。

ここで電気豆知識です、電流容量は銅の場合1A当たり断面積0.8平方mmが基準です、市販ビニール被覆線電流容量はこの基準で決められてます。 TOMIXポイント基板パターン幅は2mm、断面積は銅箔厚0.07x2で0.14平方mm、電流容量は175mA です。


電源最大許容電流1.2Aですがポイント内電流は1両分で、モーターと室内灯で350mA です。 その半分しかありませんが、この程度は燃えて溶断しません、多少発熱する程度です。

トング側裏は分岐側レール接点バネもトングレール切替レバーも変更ありませんが、直進側レール接点バネがフログ付近からトング側に移動してます、ギャップ位置変更が理由です。 トングレールは弱弾性になっており、スプリングポイント化の変更不要だった様です。

【TOMIX旧ポイント】
直進側・分岐側レール基板接点バネから基板経由でフログトング側の固定レールに給電し、更にトングレール給電は旧ポイントと同じです。 ポイント切替でトングが移動しレールと接触しますが、別ルートで給電してるので、トング接触は通電不良原因になりません。

筆者が『TOMIXの電気設計は出鱈目です!』と断じた、電気回路技術者なら絶対にやらないお粗末設計継続です。 TOMIXは導電性部品は何でも通電部品に流用可と考えてる様です。 このバネ材質は?、線径は?、伸ばしたら何mm?、この部品に350mA流したらの想像力に乏しい電気音痴の設計ですな。 前記基板パターン電流容量の比ではありません。


赤熱まで行かなくてもかなり発熱し、それを繰り返す事でバネ性が次第に低下し、一度接触不良が起きたら最後、発熱量急増で一気に弾性部品機能のご臨終になります。 これが通電不良の主要因だと思います。 大電流を流せるバネ材はリン青銅だけです。
 

【TOMIX旧ポイント】
問題のコイルバネトング給電は旧ポイントからの負の遺産継承です。 ギャップ位置変更で基板接点バネ位置が変わり、ネジ締め位置に近い接点接触性が若干改善した程度です。

肉眼で見えないので、各レールと基板接点バネ先端を拡大比較しました、接触面積増加工夫があるかもしれないと考えたからです。 ご覧の通り全く同じリン青銅バネでした。

トングスライダーも完全選択式SWも変更なし、切替不良・通電不良改善策は何も実施されてないとほぼ結果が見えたので、写真加工して見易くする手間が馬鹿らしくなりました。 写真完全選択式下側接点が上下逆になってますが、撮り直す気さえ起きません。

【TOMIX旧ポイント】
トングスライダーはポイントマシンソレノイド15mm横にあり、手で開閉できる窓を長い棒を使って開閉する様な構造欠陥が、切替不良の主要因だと考えてます。 TOMIX新ポイントは、『完全選択式』が本来持ってる『スプリングポイント機能』を設計ミスで発揮できなかった旧ポイントの改良品に過ぎず、切替不良・通電不良は全く改善されてません。 従って『TOMIXポイントはやはりレイアウトに使えない!』が結論です。


TOMIXで鉄道模型を始め、ファイントラックでレイアウト製作し、電気は苦手で学ぶ気ない方はTOMIXを使い続けてください。 切替不良・通電不良に備えコイル交換、最悪ポイント交換可能構造にして置けば済む事です。 ハイパーポイント電源やリバースボックスN等色々お金を遣わされますが、利用価値だけ楽しむ税金と考えれば安い物だと思いますよ。


ではまた。

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