補機を追って
9月下旬に諏訪で真夏日、飯山や飯田で猛暑日の異常気象も収まり、朝は涼しいと言うより寒い平年並み気候になりました。 これから冬が本格化するまでの2ヶ月がレイアウト製作最適シーズンなのですが、一旦スイッチオフした工作意欲は再起動しません。
どころかHOナローに興味が湧き、レイアウト設計までして浮気するか悩んでる始末、趣味だから好きな事をやれば良いのですが、工作記のブログ記事が絶えて久しい状況です。
という訳で古い鉄道雑誌記事からです。 ご承知の通り『補機』とは『補助機関車』の略で、列車運転区間の一部で牽引力が不足する場合の助っ人として使用される機関車です。 本務機の前に付けば前補機で重連になり、列車後尾に付けば後補機になります。
補機は通常1両ですが、急勾配の峠越えは2両付く事もあります、D51三重連の奥中山や播但線、8620三重連の竜ヶ森です。 国鉄定義がどうだったか知りませんが、全運転区間機関車2両で牽引する足尾線C12の様な例は重連運転であっても補機ではないと考えてます。
★北陸本線の難所
北陸トンネルが開通して敦賀-今庄間の所要時間が15分になるまで、この区間は北陸本線の難所でした。 『柳ケ瀬越え』とも『木の芽越え』とも呼ばれた山また山の区間で、1時間前後を要してました。 北陸トンネル開通後旧線は支線になり、その後廃止されました。
その北陸本線難所の貨物列車を、注記によればD50/D51各2両の4両が牽引してたとあります。 写真には機関車三重連の次位に無蓋貨車が見えます。 D50重連本務機にD51前補機と後補機が付いたと想像します。 1貨物列車に機関車4両、緩急車に多分2人なので10人で運行してた訳です。 当時の国鉄職員はJR化後1/5に減ってます、この列車は1/10です。
前の写真に出てくる葉原信号所の大阪始発金沢行の急行『ゆのくに』です。 隣駅新保も元は信号所でした。 本務機DF50の客車列車をD51が後押ししてます。
★山陽本線瀬野八
西の箱根と呼ばれた山陽本線の難所でした。 難所と呼ばれてたので国鉄急勾配の標準25‰と思ってたら22.7‰でした。 それでも電化後に山岳仕様でない151系特急『富士』や153系急行『みやじま』が広島まで運転されてた際に電機が補機に付いてました。
補機と言えばD51が主役でしたが特甲線規格山陽本線ではD52が補機を務めてました。 特急『かもめ』を後押しするD52です。 20系登場以前の旧客編成特急最後尾は、荷物・座席合造車だった様です。
同区間の貨物列車にはD52重連の後補機が付いてました。
★中央本線
甲府盆地西の塩川鉄橋を渡った韮崎手前から信濃境の甲信国境サミットまで25‰勾配が連続区間で、スイッチバックが4ヶ所(新府含む)存在し、中央本線専用にキロ28を2エンジン化したキロ58を使用したほどです。
補機運転区間は甲府⇒上諏訪で、サミットから上諏訪は勾配が緩く補機運転は下り列車だけでした。 上諏訪から甲府へ単機回送したのか、列車併結回送だったのかは不明です。
【甲府駅】
中央本線下り貨物列車のD51補機運転写真は見た事ありますが、旅客列車は始めて見ました。 準急としか書いてませんが多分『白馬』です。 この区間を単機牽引する普通列車写真は見てます。 優等列車スピードアップ目的の補機だったのでしょうか。
次は現在居住地近くの中央本線で、こんな形の補機運転が電化前に行われてたのかと驚かされた事例です。 標高800mの諏訪盆地は山向うの伊那谷や松本平より200m高く、諏訪転居数年後に塩嶺トンネル開通で塩尻に直行できる様になるまで、岡谷から南下して伊那谷入口辰野へ至り、反転北上して峠を越え塩尻に至る我田引鉄の『大八回り』ルートでした。
辰野から諏訪盆地岡谷へは緩い上り勾配で途中に川岸駅があります。 その辰野⇒川岸間1駅の途中の区間だけ、非力なC12が貨物列車の後補機を務めてました。 上諏訪機関区所属のD51が務めるほどの推進力は不要だったのでしょう。 右に見える勾配変化点までのわずか3-4kmの仕業で、自動解放した上り貨物列車を見送り、辰野へ引き返しました。
★信越本線
アプト式碓氷峠は長く電機補機区間で、古くはED42、アプト式廃止後はEF63です。 もう一つ補機運転区間がありました、信越国境です。
信越本線はD50最後の活躍場所の一つでした。 豊野は善光寺平北方の町で、次の牟礼から本格的な峠越が始まります。 この区間にもスイッチバックがあり、長野-直江津間が補機運転区間でした。
★京阪貨物専用線
首都圏の様に京阪神間にも東海道本線に並行して貨物専用線があったと思います。 現在は複々線として快速運転に使われてるのでしょうか。
大都市圏の補機運転は考えにくい処ですが、何とC11重連が逆推進で貨物列車を牽いてます。 以前『貨物入換作業』で紹介した様に、この区間各駅は貨物扱い駅です。 右端架線柱で貨物専用線も電化されており、急場凌ぎの代打で蒸機出動、牽引力確保目的の重連で、最初に書いた様に重連でも補機とは言えないと思います、でも楽しいですね。
ではまた。









