星電社のレイアウト
星電社をご存知でしょうか、神戸が本拠の家電量販店で全国展開し、1969年には家電売上高日本一を記録した会社です。 その後バブルの波に乗り関西一の家電量販店の地位を保ちましたが、阪神淡路大震災で甚大な被害を受け、ヤマダ・コジマなどの郊外出店安売り量販店との競争に敗れて業績悪化し、2002年に民事再生法適用申請して経営破綻しました。
その星電社が三宮本店開店に合わせ、展示用レイアウトをエレベーターホール空間に作り、TMSが紹介してます。 完成は1966年、少なくもその後10年間は存在し、1995年阪神淡路大震災で倒壊してますので、関西在住でこのレイアウトを見て夢を膨らませた方が居るかもしれません。
集客目的の展示用レイアウトと言っても11mx3.5mの大規模本格的レイアウトで、趣味・レジャー関連用品売場の一部を潰して設置されてる事から、創業者兄弟の一方が鉄道模型マニアだった可能性が高いと思います。
こちらが全景、営業日は毎日運転されてたそうで、ストラクチャやシーナリーを作り込んだ堂々たる博物館級のレイアウトです。 当時市販されてた一番緩い曲線線路R900を使用してたと思われ、キハ82系6連が走る姿も伸び伸びとしてます。
周囲にはアクリルか硝子の衝立が設置され、中央でメルクリン社製品運転とあるので、販売製品だったのは間違いありませんが、星電社のTMS広告は見た記憶がありません。
横幅3.5mですが、エスカレータ乗客ヘッドクリアランス確保の為、この写真で解る様に両側から段違いの切り欠きがあり、全体としては瓢箪型の敷地になってます。 切り欠かれて狭くなった部分に内外エンドレスとリバース線5本の線路が集中してますが、この制約条件が線路配置に変化を与えてます。 バックストレート9mの直線の愚を避けてます。
2ブロックに分けられた一方にメインステーションを斜め配置、切り欠きで生じた三角地帯をヤードにしてます。 ヤードの出入りは一旦引上線に引き上げて折り返す方式です。
レンガ造り3線式6両収容可能な堂々たる機関庫、大型給水タンクが高い鉄骨櫓に乗ってます。 気になるのは、このレイアウトの製作コーディネータを誰が務めたかです、鉄道全般とレイアウト製作ノウハウを持ち、線路配置やストラクチャ設計、電気制御に詳しい統括責任者なくして、レイアウト用品がほとんどなかった時代に完成させるのは無理でした。
関西在住のレイアウト製作経験者にアルバイトとして依頼したかと思ったら、解説文の片隅に答えが書いてあり、TMS中尾氏でした、さもありなんと納得です。 もう一つ気になるのはこのレイアウトがいつまで存続したかです。 高額な販促ツールですから10年は使っても、震災で建物倒壊した1995年まで30年近く生き延びたとは思えません。
メンテに手が掛かるレイアウト、15-20年で経年劣化で寿命を迎えたハズです。 世はすでにNの時代、役割を終え本業に集中と取り払われ売場面積を広げたのが一番有りそうなシナリオ、あるいは競争激化てたとは言え経営不振には至ってなかったので、N新レイアウトに置き替えたかもしれません。 ご存知の方、教えていただければ幸いです。
ではまた。







