S氏の神岡線をレイアウトする
前回摂津鉄道作者S氏の神岡線訪問記『新しいローカル線』を紹介しました。 この訪問記にはおまけとして、神岡線風景を取り入れたレイアウト設計案が掲載されてました。 S氏は摂津鉄道に辿り着く前、山陰本線峡谷風景再現レイアウト設計を行ってました。
S氏は神岡線のシーナリーと新しい感覚のストラクチャを取り入れ、キハ2連とDD13貨物列車が走る前提で設計してます。 最小曲線半径500mmで、サイズは1800x2700mm、16番としてもかなり大型サイズです。
大型と言ってもシーナリー重視なので線路配置は至ってシンプル、8の字エンドレスに列車交換駅と駅員無配置駅各1で、トンネル内の奥を結んでリバース線にしてますす。 それでは設計のポイントをまとめます。
➊30度平面交叉
8の字エンドレスは立体交叉ではなく平面交叉でトンネル内に隠してます。 このサイズなら立体交差も可能ですが、勾配が急になり、リバース線にも無理が出るので平面交叉にしてます。 1列車運転ならトンネル内衝突もなく、勾配は見せる為だけで付けます。 この平面交叉はレイアウトに、もっと使うべきとTMS山崎氏もミキストで述べてました。
➋トンネルでない処
訪問記の中で『トンネルでない処は鉄橋か駅』と述べられてます。 このレイアウトプランのトンネル間4ヶ所は右側がトラス鉄、次が交換駅からカーブコンクリート橋、中央が駅員無配置駅、左側のみが鉄橋も駅もない雪崩防止矢来の切通しで正に神岡線風です。
➌列車交換駅
ここは神岡口駅をモデルにしてます。 コンクリート駅舎から地下通路を通り階段を登ってホームの構造です。 木造駅舎より製作が楽に見えるが、アルミサッシ表現やコンクリート地肌の微妙なディテール等、これまでとは違った難しさがあると書かれてます。
【前回記事より】
駅前ストラクチャは駐在所とタクシー営業所を予定、ホーム長は3両分750mmも可能だが、キハ2連の500mmに抑えてポイントとホーム間距離を長く取り、予備レールや枕木、または保線詰所を配置した方が国鉄駅らしくなると書かれてますが全く同感です。
➍駅員無配置駅
当時は貨物扱いがあったので、駅員が居るのが当り前で、こんな表現をされてました、無人駅が圧倒的多数の現在は使われない言葉です。 西漆山駅がモデルになってます。
【前回記事より】
峡谷から一段上がった場所のホームと待合室だけの無人駅です。 利用者が住む集落の対岸にあり、吊り橋で結ばれてるのも取り入れてます。
吊り橋は橋脚を建てられない深い谷に架けられます。 吊り橋が似合う風景にするには少なくともスパン250mm、谷の深さ200mm以上が必要でしょう、通常の架橋ができる場所の吊り橋はチグハグだからです。
つまりこのレイアウトプランはレール面基準で峡谷底は250-300mmであり、基準面上の山地を加えると高低差500mmを超える立体的な地形造形になってます。
➎鉱山引込線と沿線風景
右端には神岡線にある鉱山引込線があります、駅構内線から分岐してますが、高架駅なのであまり気になりません。
解説には書いてませんが、雪崩防止矢来の脇にこの様な耕作地を作ると、山間の里の雰囲気を盛り上げてくれるでしょう。
16番でこのサイズなら線路引き回して5-6両編成走らせる設計するのが普通です。 さすが摂津鉄道S氏だけの事はあると改めて感心、HOn2 1/2レイアウトストラクチャとシーナリー設計の良い刺激になりました。
ではまた。





