Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

レイアウト有度山麓鉄道

同号には摂津鉄道と並び、筆者レイアウト製作に大きな影響を与えたレイアウト『有度山麓鉄道』が紹介されてます。

【TMS1966年1月号表紙】


◆概要
有度山麓鉄道は大正から昭和初期の時代設定のレイアウトです。 摂津鉄道がこんなレイアウト作れたらの憧れの存在だったのに対し、自分にも作れるかもしれないと思わせてくれたレイアウトでした。

連名の製作者は静岡県清水市在住の筆者同世代の兄弟です。 兄が筆者の2歳上、弟さんは同年か1歳下ではなかったかと思われます。 静岡の高校生に作れるなら自分も頑張れば作れると考えたのは当然です。

【第一次レイアウト】
このレイアウトは発表2年前に一旦完成してました、1100x1500mm本線部分に駅・ヤードが付属した線路配置で、高校生と中学生製作レイアウトとして良くまとまってます。 今回は大規模改修完成後の発表です。

【製作者の弁】
蒸機現役時代の時代設定として大正から昭和初期は渋い選択ですが、最小曲線半径R400、小型蒸機と15m級ダブルルーフ客車の走行車両制約が時代設定の背景の様です。 そして鴨居上空間利用が衝撃的で、筆者も4.5畳自室鴨居上に1200x2700mm基台を作りました。


筆者の鴨居上基台は線路敷設さえ行われず撤去の憂き目を見ましたが、上方のなくても良い空間利用コンセプトは屋根裏空間利用の形で半世紀後に日の目を見る事になりました。 

【レイアウト建設用地】
前文にある様に鴨居から上の空間に建設されたレイアウトです。 6畳間に2段ベッドを置いた兄弟の子供部屋です。 可能なら用地拡大したかったのでしょうが、2段ベッド上段が使えなくなるので、押入天袋や箪笥収納場所上空まで利用した苦労が良く解ります。

【改修完成後】
第一次レイアウトは短い本線エンドレスと双方から駅に通じるリバース機能の接続線で、本線と構内入換2列車運転でしたが、改修により旧本線を含む長いエンドレスにもう1エンドレスが追加され、更にリバース線も双方向化され、変化に富んだ運転が可能になりました。


駅右端にダブルスリップを採用してスペース節減を果たしてます。 この改修により運転時の兄弟喧嘩が減ったのではないでしょうか。(笑)


◆ストラクチャ
多分第一次レイアウトは『自分達のレイアウト』の想いが先行し、勢いに任せて製作したのだと思います。 一旦完成し使用して不満点が次々発見され改修したのが良く解ります。

終端駅から通過駅への大改修です、転車台や機関庫は移設した様ですが、線路移動を含めてほとんど作り直しに近かったと思います。

ストラクチャ類の市販品はほぼ皆無の時代ですから、通信電柱含めて自作です。 木造駅舎と並ぶ便所と物置(?)、良くできてます。

駅舎改札口から跨線橋で島式ホームへ、短いホーム上屋も亜幹線駅の特徴を良く捉えてます。 8620タイプの蒸機が写ってますが多分自作、工作力も凄腕だった様です。

外観見ただけでそれと解る信号扱い所、時代設定が現代(1960年代)だったとしても似合います。 ストラクチャ製作はシナリーガイドK氏のTMS掲載記事を参考に製作したと書かれてます。 給砂施設は沼津機関区に出掛けて実物現地取材で製作されたそうです。

あるべき場所にあるべきストラクチャが配置されてる、学ぶ事が多いレイアウトでした。

実際に現場で組み立てた訳ではなく、製作中ストラクチャの仮置き撮影だと思いますが、レイアウト製作の遊び心が表れたショットです。

三線機関庫と16棟の詰所群、給水塔・給炭台・給砂塔も見えます。 スポートや廃貨車物置など小物も丁寧に作り込まれ、全体で機関庫の雰囲気を盛り上げてます。


◆シナリー
地形や植生など全体のシナリーを見ていきます。

鉄道関連施設に絞り、人家や商店の街並みを省略した潔さも良かったと思います。 背景の絵心も中々の物で山間の小駅の雰囲気が良く出てます。 手前増設部分平地の田舎道のうねりや凸凹感も自然です。 植物素材として水ゴケを主要材料に使用してます。

旧本線部分は地形造形しており、急峻な岩山が侵食され、所々に植物が生い茂った様子を再現してます。 お椀を伏せた様な線路隠し目的の山でなく実在感があります。 TMS記事を参考に、ボール紙テープホチキス止め骨格に新聞紙を貼り石膏仕上げの地表面です。

線路配置から判断するとシノハラフレキレールで敷設したと思われます。 限られたスペースで同一視界に複数レールが存在するのは避けられませんが、地形で変化を与えてます。

かなり強いカントを付けてるのがこの写真から解ります。 リバース線分岐は野中のポイントの印象を避ける為でしょうか、小さな小屋(信号掛詰所?)と転轍標識を設置して信号所の雰囲気にしてます。

この鉄道シナリーの見せ場は何と言っても湖の縁に架かる三連デッキガーダー橋です。 長スパンの左側二連に対し、若干スパンの短い右側の桁高を低くする芸の細かさです。


◆制御
このレイアウトの運転制御はデュアルキャブコントロールです。

当時流行したコモンレール方式を採用してるので、ギャップはリバース線のみ両ギャップ、他は片ギャップです。

左右キャブにそれぞれリバース用を含めたディレクションスイッチ2個、リバース2区間、他6区間の選択スイッチが並び、電圧計と電流計は左右キャブ共用で切替式になってます。

【機関区の夜】
停車中列車点灯の為に高周波点灯装置を開発中です。 製作者は同世代であり、遠い存在だったレイアウトをグッと身近に引き寄せてくれたレイアウトでした。 当時の筆者が本当に製作できたかどうかは別ですがね。


ではまた。

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