Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

ポイントの定位と反位

前回TMS200特別号表紙になったC54製作記紹介の中で、鉄道模型マニアには他人がやらない事をやりたいという気持ちがあり、それは現在でも変わりませんと書きました。

【TMS1965年2月号表紙】
今回は筆者のレイアウト製作のこだわり、『ポイント定位/反位と駅構内線形』について書きます。 スペースの限られた個人レイアウトで、ポイント定位/反位守って最大4両編成と守らずに6両編成どちらを選ぶの選択では、おそらく99%の人が後者を選ぶでしょう。


かくして中央駅左右それぞれが同一方向分岐ポイントだけで構成され、外周エンドレスからポイント定位を辿るとレイアウト最外周線路に到達する線形が出来上がる訳です。

3尺6尺の小型レイアウトに6両編成乗り入れ可能ですし、左右90度から分岐するTOMIXカーブポイント使えば更に余裕です。 それを鉄道駅らしくないと考えるのは筆者のこだわりで、皆さんに押し付ける気はありません。 ただ基本は理解して欲しいと考えてます。


◆ポイントの定位と反位の規則

200特別号にたった1ページですが摂津鉄道作者のS氏が解説してます。

ポイントの定位/反位は規則で決められてます。 そこから外れた運用をする場合は鉄道管理局長の許可が必要な厳格なルールです。 定位とは常時開通方向で、反位は必要時のみ切り替え、その必要性が消失したらすぐに定位に切り替えなくてはならない開通方向です。


安全側線ポイントと脱線ポイントはその設置目的から直進側でなく分岐側が定位になりますが、その他はY字ポイントを除き、ほぼ100%直進側が定位、分岐側が反位になってます。

第1号は本線と本線(副本線を含む)を分岐するポイントについての規則です。 主要な本線側が定位、単線区間の上下本線ポイントは駅進入ポイント側が定位と定められてます。

事例Aは東海道本線から美濃赤坂線が分岐するポイント、主要な本線である東海道本線側が定位です。 簡略化した図で、実際には美濃赤坂線側に安全側線が設置されてます。


事例Bはローカル線で時々見られる線形で予土線江川崎駅もこのタイプでした。 列車交換や待避を行う場合だけ副本線を使用するので本線は直線になります。 その替わり上下列車が2線使用するので、場内信号機・出発信号機各4基、8基の信号機が必要です。


事例Cは上下本線2線駅のポイントの例です、駅進入ポイント側が定位なのでこの様になります。 両側Y字ポイントの2線駅は小海線や足尾線などローカル線で多く見られ、貨物扱い停止後はその多くがスプリングポイント化で合理化されました。

【駅両端で本線がオフセットした中山平駅】
亜幹線や幹線の上下本線2線駅は、対向式/島式ホームの違いに係らず、安全側線を備えた事例がほとんどで、当社中山平駅の様に駅両端で本線がオフセットしてるのが普通です。

第2号は本線と側線を分岐するポイントについての規則です。

これは常識で考えれば解る事で本線定位です。

第3号は本線や側線に設置される安全側線ポイントについての規則です。

信号を無視して本線に進入した場合の正面衝突防止目的で安全側線が設置されてますので、安全側線の方向が定位です、本線合流ポイント連動で切り替えられる様になってます。

第4号は側線と側線を分岐するポイントについての規則で、貨物側線や引込線が複数ある場合や、貨物引上線がある場合です。

事例Aは常識的な判断通り直進方向が定位です。


事例Bは貨物引上線に見られる線形で、本線に通じる方向が定位です。

第5号は脱線ポイントについての規則です。

脱線ポイント設置目的は安全側線ポイントと同じなので脱線する方向が定位です。 以上でポイント定位と反位の解説は終了ですが、国鉄駅らしい構内線形について、当社従来線を例に考えてみたいと思います。


◆中山平駅
ポイント定位/反位だけでなく国鉄ローカル駅を可能な限り忠実に再現し満足してます。

駅進入側が本線直線、対向式階段踏切とオフセットホーム、駅舎側ホーム割り込み貨物側線は国鉄ローカル駅のザ・スタンダードでした。

実際の安全側線ポイントは本線反位が直線又は緩い曲線でトングがなく、安全側線定位が急曲線で定位時平板が外側からレールに被さり乗り越す形になってます。 ここにY字ポイント使うしかありませんでしたが、現在はTOMIXから安全側線ポイントが発売されてます。


◆笠松信号所
レイアウト製作の主要目的の一つが通過型スイッチバックの再現でした。 恐ろしくスペース効率が悪く、4m敷地奥一杯の配置で当社本線有効長930mm、6両分が決まってます。

従来線設計時点のレール選択肢にPecoはなくKATO両渡線使用前提で設計しました。 通過型スイッチバック実現を優先し、こだわりを一旦捨てた訳ですが、捨て切れず延伸線建設に繋がりました。 次第に離れる引上線線実現にはR718/15度1/3の5度曲線を使ってます。

【土讃線新改駅】・・・2022.11.30撮影
実際の通過型スイッチバックは例外を除き定位本線側が直進になってます。 ポイント2個だけの簡素な線形の坪尻も定位本線側が直進です。


◆生野駅
利用可能スペース条件からベストの解でしたが、ポイント定位/反位を守れても国鉄駅の線形として一番不満が残ったのが生野駅中山平方です。 駅端本線ポイントからすぐカーブを避け直線を笠松方に確保する為、中山平方をスペース効率優先の設計にしたからです。

【生野駅中山平方】
国鉄駅は駅舎のある1番線ホームから右方を見ると真っ直ぐに本線が見えるのが普通ですが、ホーム端でカーブし15度振ってます、安全側線も貨物側線もなく、右下に見えてる機廻し線ポイントを除けば全て右分岐、国鉄駅の雰囲気が希薄な事が不満足点です。


せめてもの演出に駅端本線ポイントに6番を使い、その結果の2/3番線間の広さを利用して融雪溝設置したのがささやかな抵抗です。 筆者は線形オタクですので、もしスペース余裕があったらどうしたか検討しました。

ユニトラック使用で1番線直線と安全側線設置すると3/4番線ホームが370mm移動します。 逆に1番線は貨物側線設置しても160mm移動で済みます。 駅端ポイントからすぐカーブを避けると500mm、バランス的にホーム有効長も伸ばしたくなり実現は不可能でした。


2番線が1番線から分岐するのも重要です、これで下り貨物列車専用と確定します、上下兼用なら安全側線右側の3番線から分岐しなくてはなりません。 実感的線形実現は固定分岐角レールシステムでは無理で、Pecoコード80の7番/4番ポイント利用が必要です。

【生野駅笠松方】
本線から左右の広がりと機関庫の位置関係、駅端ポイント右にはS248直線があり、生野駅笠松方の線形は国鉄駅らしく満足してますが、唯一残念なのが安全側線がない事です。 中山平方と同じく検討してみました。

すると驚いた事にR481/15度を2分割したレール使用すれば、1番線ホームが130mm移動するだけで実現可能と解りました。

現在北町踏切から駅端ポイントまで直線が140mmあり、ポイント移動で北町踏切や機関庫に影響せず実現可能と解りました。 設計段階で思い付けば100%こうしてたでしょう。 北町通りや出発信号機位置にも影響する大改修になるので、実施できません、残念!


レイアウトの駅はコンパクトで長い列車停車可能な方が良いとお考えの皆さんから見れば『何とアホな』と思われると承知してますが、若い頃車窓やキハ58運転席後方から地方ローカル駅構内線形観察し、一見無駄の多い線形こそ国鉄駅と信じてる筆者のこだわりです。


ではまた。

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