Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

良く解る2列車運転

TMS1964年2月号紹介の続編第4回です。

【同号表紙】


◆良く解る2列車運転
この時代も現代も目に見えない『電気』が苦手の鉄道模型マニアは多く、現代の方が多いと思います。 TMS編集部中尾氏の電気が苦手の人向けの解説記事が掲載されてます。

キャブコントロールの非常に解り易い解説なので、記事内容を転載しながら、筆者も電気が苦手な前提で解説を進めます、なお用語の一部は現代でも通じる様に翻訳してあります。

最初に2列車運転の定義です。 2列車運転制御と2列車用線路配置を混同してる人が多いと書いてあります。 現在も同じかもしれません。

次にパワーパックの説明です。 図面はリバース線運転に必要な逆行スイッチ2個付きで、当時はこれが標準仕様でした。 この解説はリバース線なし1個使用で書いてあり、現在のN用廉価版パワーパックと同じです。

第1図は単線エンドレスにパワーパックを繋ぎ1列車運転の基本形です。 ここにもう1r列車置いたらどうなるでしょうか?。

当前ですが2列車の走行方向は同じ、個別の速度調整や進行方向選択はできません。 重連運転や長編成の2M運転と同じ条件です。

ではエンドレス2つにしてそれぞれ1列車置いたらどうでしょうか?。

走行する線路が別になるだけで、個別の速度調整や進行方向選択ができないのは同じで、2列車運転とは言えません。 また実際には第3図の配線では全線走行不能なばかりでなく、ショート事故が発生するのでギャップと補助フィーダー線が必要と書いてあります。

ギャップ4ヶ所(引込線設置時5ヶ所)と補助フィーダー線片極性1本です。 ギャップ設置については『スパイクから運転まで』P11参照と書いてあり、上記で全線給電可能、かつショートも発生しません。 理解が難しい片ギャップ法はお薦めできませんので無視してください。 まずは解説からです、現在のN用レールの場合は後で補足説明します。

この事例は非給電レールが存在せず、上記『非通電』の意味は双方プラス、双方マイナスで停止の状態です。 A/B列車をa/b位置に停止させ一方の列車を運転する事が可能です。

またA/B列車をa/b位置に停止させれば引込線のC列車運転も可能で、引込線が枝分かれして何本になってもポイント開通線のみが運転可能になるだけです。 この様に線路配置に関係なく1台のパワーパックでレイアウト上の1列車を選択して運転するのが1列車運転です。


★補足説明:第4図をNレールに置き換えると
この解説図面はギャップ数と補助フィーダー線が少なくて済む片ギャップ法で表記されてますが難解です。 現在のN市販レールは電気が苦手でも使える様に工夫されてます。 筆者は解り易く2列車運転電気区間分離が容易な両ギャップ法採用で、原則は以下2点です。
➊ポイントはトングレール側にフィーダー設置して給電する。
➋ポイント分岐側が対向する箇所にギャップを設置する。

この原則を第3図/第4図に適用すると以下の通りです。

KATO/TOMIXレール使用の場合は原則➊で、補助フィーダー1ヶ所追加するだけでギャップ不要です、ポイント内部スイッチがギャップになりショートしないからです。 両社が同じに???となる方に追加説明すると、TOMIX完全選択式は原則➊を守らずフィーダー設置しても全線給電可能なだけの違いです。 子供でも使える様にした結果の劣悪な品質です。

Pecoはこの解説の16番レールと同じ電気的特性です、原則➊の補助フィーダー設置に加え原則➋で4ヶ所の両ギャップが必要です。 第4図の両ギャップ法がこの図です。 追加説明を終り2列車運転に話を進めます。

第5図は第1図2組、第6図は立体的に組み合わせただけ、独立2エンドレスに各パワーパック1台で1列車、個別に速度調整や進行方向選択可能な2列車運転の基本形です。

A/B両エンドレスを相互乗り入れ線路で結びました。 なお中央片ギャップ2ヶ所を元図は省略してますが、ショート防止に必要(KATO/TOMIX不要)でこの図のみ追記しました。

列車を運転するパワーパックが引継ぎになりますが、一見全線運転可能に思えます。 ところがそうはならずA/B境界部分を通過不能なのです。

何故なら鉄道模型車両は前後台車で絶縁車輪を逆にして電源プラス/マイナスを集電しモーターを廻してますが、境界部では車両長さにより同一パワーパックから電源供給できず停止してしまうからです。

この問題を解決する1つの方法はA/B間に引き継ぎ区間C/C’を設け、C/C'をA/Bに切替可能にする方法です。

A/B両パワーパックの進行方向を合わせ、速度調整ダイヤルも合わせておけば、走行中でも問題ない様に見えますが、CをAからBに切り替える際に一瞬電気が途切れ、つんのめる様な動きになりますので、やはり一旦停止が必要です。 この方法には難点があります。

A/Bを複線エンドレスにした場合、A/B境界が渡線になる場合が良くあり、引き継ぎ区間C/C'を設ける物理的余裕がありません。

そこでもう1つの問題解決方法がパワーパックを大容量のパワーユニット1台とコントロールユニット2台に分ける方法で、広く採用されてた『ブロックコントロール』です。 A/B進行方向と速度調整ダイアル合わせても境界部で速度変化ありましたが許容してました。

当時標準方式だったブロックコントロールに対して疑問を投げかけてます。 キャブコントロールはまだ少数派の時代でした。 他人のレイアウト制御情報が少ないので解りませんが、現在はキャブコントロール主流、でも100%理解されてるかは???です。

パワーパックの制御区間が固定したブロックコントロールとキャブコントロールの違いを説明する為に電話器の例示を使ってます。

つまり、パワーパックが制御する区間を固定して考える必要はないと主張してます。 これがキャブコントロールの基本中の基本です。

電話例示の考え方を第7図に低要すると、パワーパックA/BからエンドレスA/B双方に接続する配線が必要ですが、全て配線すると混線します。

そこで第15図ⅠⅡの様に繋ぎ替えが必要になります、パワーパックAがBを制御してる時はBは話し中なのでパワーパックBはBに接続できず、Aにしか接続できません。

配線を繋ぎ替えるのは面倒なのでスイッチに置き換えます。

キャブコントール方式の名前は、運転者1人がパワーパック1台で1列車をレイアウト上全線どこでも、丸で運転室(キャブ)に座って運転する感覚を味わえる事に由来してます。

区間選択スイッチは双方のキャブから近く、かつ他キャブの使用状況確認を容易にする為、キャブ間に置くのが便利で、この制御方式をデュアルキャブコントロールと呼びます。

ここまでの解説は単純化してA/B2セクションでしたが、2列車運転には最低3セクションが必要です。 1つのキャブは現在走行中のセクションと、次に進入するセクションの選択が必要です。 もう1列車も同じ条件でセクション境界通過が同時ではないからです。

【当社制御盤】・・・過去記事より転載
ちなみに露太本線単線エンドレスは駅間3セクションと駅構内線2セクションの5セクションで、他の駅構内線と合わせ全部で10セクションのデュアルキャブコントロール方式です。

中尾氏は解説最後をこの様に結んでます。 当社も1人2列車運転を考えて設計しました。 物理的に可能で何度も実施しましたが兎に角忙しく運転を楽しむ余裕を持てませんでした。 延伸線ではモード選択スイッチでポイント/信号機一括制御するので楽しめそうです。


ではまた。

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