Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

建設中の露太本線➏

地形製作の話が終わったので今度は風景製作、特にレイアウト境界部処理で当社が苦労し工夫した部分について解説します。


3.風景の端末処理
『風景の端末処理』は筆者造語ですが、レイアウト製作者全員が悩む問題だと思います。


3-1.端末処理とは?
限られたスペースのレイアウト鉄道では本線エンドレスが多く端末がありません。 終端線があっても車止設置すれば風景として違和感ありません。 一方で道路や水路は実際には長く続くのにレイアウトでは境界に端末が生じ、それを違和感なく見せる工夫が必要です。

【北町踏切先で途切れた道路】
北町踏切を渡って基台端で途切れた道路はレイアウト風景として違和感あるでしょうか?、ないと思います。 通常鑑賞方向から見て手前で途切れた道路や川等水路は、レイアウトの性格上仕方ない物であり、途切れた先を想像して鑑賞するのが暗黙の了解だからです。

【駅裏産業道路の端末】
それを悪用しこんな事もしてます、多分この先生野駅裏を通り北町踏切渡った道と繋がってるだろうと想像できるからです。 この理屈でゆくと360度から鑑賞可能なレイアウトには端末処理問題が発生しません。 しかし一部でも背景を設置したレイアウトでは端末処理問題が発生します、ドーナツ型敷地で全方向背景設置の当社では深刻な問題になりました。

【駅裏産業道路の端末 夜景】・・・暗闇は百難隠す!
背景板で突然道路や川が途切れる、それが通常鑑賞方向から見えると実在感を損ない違和感が出てしまいます。 それを避ける為に当社で実施したあの手この手の紹介です。


3-2.北町商店街の先
設計時に一番頭を悩ませたのが、生野駅線路沿い、背景板近くに伸びる北町商店街の先をどうするかでした。 北町踏切で直角に曲り先を作らない選択もありましたが、街作りとして変ですし、背景に描かれた一段低い土地の旧市街地とも整合が取れず迷いました。

【北町商店街終端部設計図】
その解決策に選んだのが生野トンネルです、旧市街地に国道旧道、向こう側にパイパスが通っており、駅前からパイパスへの混雑緩和策として道路建設が盛んだったこの時代に作られた想定です。 基台のスペース不足で収まらず張り出し基台に建設する事になりました。

【生野トンネル部品全景】・・・奥が張り出し基台
トンネル製作に適した素材は、水道配管に使われる塩ビパイプの大曲りエルボしかありませんでした。 トンネル内でカーブして先が見えなくなる、従って製作必要性がなく、想像の世界で先に繋がってるからです。

【生野トンネル張り出し基台】
生野トンネル張り出し基台ベースは9mmコンパネ、西基台側板にL字金具で、トンネル入口がレール面+13mmになる様に高さ調整して固定してます、背景板は0.8t板紙です。

【生野トンネル】
入手可能だったのは必要サイズより一回り太いサイズだったので歩道付き高規格トンネルにしました。 このトンネルを使って解決する手法は延伸線にも採用し、実感的な小型サイズを入手して製作してます。

【生野トンネル 夜景】
市街地新設トンネルなので照明を組み込みました。 トンネル断面形状が決まってるのでこの様にしましたが、地方の小さな町に建設されたトンネルとしてはオーバーサイズです。

【張り出し基台の風景製作】
右側ループトンネル岩山の山裾を貫通してるので、地表面や植生を同じにしました。 張り出しに視界に入る垂直鉄骨は大型j樹木で隠しました。

【完成形 昼景】
オーバーサイズ感は否めませんが、北町通りとトンネル内道幅は同じであり、風景としての違和感を免れてると自己評価してます。

【完成形 夜景】
北町通りはこの手前踏切でレール面高さですが、トンネルへ向け上り坂で入口は13mmの標高です。 文具店と造り酒屋土台はもちろん水平で、道路のチョッとした勾配も風景に変化を与え実在感を高めてくれます。


3-3.生野駅前から南へ伸びる道
レイアウト北西端で起きた問題は南西端でも発生しました。 南へ伸びる道は北町商店街と異なり狭い道にする計画だったので、駅端踏切で線路を渡り、先細り農道になって小川堤防が終点でも良いと考えてました。

【背景だけの南西コーナー】
道はそれで良いとしても、かなりの広さがある南西コーナーをどうするか決める前に基台が完成、となると早く線路敷設したくなるのが人情です。 線路左側築堤下の水田と農道製作中も未定で、低湿地の沼か池でも作るかとラウンド形状背景板を立てただけです。

【未着工の生野駅南側】
他部分の地形製作・風景製作が進む中、生野駅南側は背景板未設置の線路奥側設計図があるだけで、南西コーナーと共に駅詰所群の左、線路手前側も未定でした。 レイアウトの製作着手環境整えば、決まってる処から作り、後で考えればとなるのは誰しも同じ様です。

【生野南中学校体育館】
先に難物の南西コーナー決めないと後で立往生するので、神社か中学校の最終案から中学校を選びました。 どちらも端末処理機能がありますが、想定時代に団塊世代義務教育が終わり、統廃合と同時にコンクリート校舎に建て替えられた時代整合性が高く、大型建築物での端末処理が楽だったからです。 またGMの木造校舎に郷愁を感じてた事も理由です。

【生野南中学校全景】
中学校の校庭から見ると低い築堤上を列車が走る高さを選択し、50mmの基台高低差をここでは10mmしか使ってません。 一旦ラウンド形状に設置した背景板は作り直し、校庭の下は空洞になってます。

【学校敷地の段差】
中学校校門は450mm高基台に2mmコルクマットを敷いた高さ、手前の踏切レール面は校門よりユニトラック厚7mm高くなってます。 校門から校庭は10mm低く階段と校舎脇自転車置き場へのスロープになってます。 段差部斜め境界柵は自作、他は既製品鉄路柵です。

【生野中学校完成形】・・・周囲は未完成です。
古い木造校舎に新しい体育館は筆者の小学校体験ですし、L字配置で渡廊下で繋がれたのもよく見た風景でした。 学校敷地としては手狭でサッカーゴールを実寸換算するとNGですが、それなりに広々と見え、この南西コーナーは結果オーライの端末処理になりました。

【生野中学校完成形 夜景】
全教室・階段ホール・玄関・体育館(3灯)と校舎前通路に3灯の照明を組み込んでます。 夜間全教室点灯は変なので、8教室中2教室(職員室と1教室)と体育館(部活中?)だけ点灯モードSWを設置してます。


ではまた。

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