Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

半世紀前のTMS 1967年7月号➋

TMS1967年7月号紹介2回目です。


5.作品グラフから
5-1.山陽356号
私鉄貨物列車や貨電/荷電は国鉄より早い時期に姿を消しました。 新宿から複々線で頻繁に電車が行き来する小田急にも、当時は相模川河原の砂利運搬貨物列車が走ってました。

山陽電鉄の小柄な貨物電車356号の真鍮製モデルです。 貨電/荷電は旧型旅客用の窓を一部潰したり、鉄格子を嵌めた改造車が多いのですが、山陽356号は違う経歴を持ってます。

【日本の車両スタイルブック掲載の山陽356号】
昭和初期の古い無蓋貨電を昭和24年に自社工場で改造した電車で、実車全長11m全幅2m強の非常にコンパクトなサイズです。

記事によると実に手の込んだ造りです。 ワムの様な貨物室扉枠はドア材の直角折り曲げ、リブは0.2t燐青銅板から1mmチャンネルを作り組み合わせた物、窓枠は0.3t真鍮版をメクラ半田付けしてから抜いてます。 ドア間段付きシルは帯板に真鍮線、ドア手摺は0.5/0.3mm真鍮線で満足できず、0.4mmギター弦を焼きなましして曲げ使うこだわり様です。

こだわりはパンタグラフにも及び自作されてます。 使える物があれば市販品流用、なければ作るのも楽しみだったのでしょう。

屋根は木製削り出しですが床板は1mm厚真鍮板、狭い車幅に収める為、製作当時生産中止になってたカツミDV12モーター使用の伝動方式です。


なおこの製作記は作者本人でなく、完成モデルを手にしたTMS常連執筆者が書いてます。 同様事例は他の常連執筆者にもあり、作るの得意、書くの苦手は昔もあった様ですね。


5-2.KATO C50改造C11タイプ
N黎明期に次々と自作車輛をTMS誌上に発表され、2ヶ月前1967年5月号にフルスクラッチ自由形無蓋荷電を発表されたI氏の作品です。

本文によるとC50ベースキット加工8620タイプや4-4-0が発表され、C11デフなしタイプへの改造を思い立たれた様です。 わずか2号で2作品、製作意欲には頭が下がります。

1Cテンダーロコを1C2タンクロコに改造する訳ですからメインフレームの延長が必要です。 図左右がが延長部、テンダー搭載モーターをキャブ内に収めたり、集電ブラシ追加も必要な大掛かりな改造を施してます。

KATOはミゼットモーター開発以前の初期C50にキャラメル型市販モーターを使っており、初期型ベースの作者は別手配ミゼットモーター出力軸側幅を狭く削って搭載してます。

先輪はC50用にカプラー取り付け改造を行い逆推進運転可能にしてます。 従台車は真鍮板からの自作です。

また従台車を首振り構造で取り付け曲線通過性能を確保してます。

上回りはコールバンカー、サイドタンク、密閉式キャブドアを0.3t真鍮板で製作し、C50プラ車体を削って組み合わせてます。

サイドタンクは左右一体で削ったボイラーを乗せる構造、ランボード先端もR形状から直線へ改造してます。 重見式給水温め器と梯子追加で上回りディテールを引き締めてます。

ビフォア&アフター、実に巧みな改造だと思います。 KATO初代C11発売はこの記事発表の3年後くらいでした。 その後Nが主流になった以降も長期間「欲しい車両は売ってない」状態が続きましたが、今やメーカーが「作る車両がない」の逆転が起きてる様です。


5-3.C62+特急列車
作品グラフ最後はC62牽引の特急列車です。

スハニ35・スハ44x2・スハフ43・スロ53x2・マシ35・スロ53x2・スイテ49の堂々たる10両編成で、C62牽引の時代考証的には合いませんが、いわゆる青大将塗装を採用してます。

スケールは1/80ですが13mmゲージの作品です。 13mmゲージのメリットは何と言っても蒸機下回りで、正面から見た時の狭軌感や側面から見た時の動輪奥行き感が魅力でした。 筆者の鉄道模型再開時に1/150、6.5mm軌間の可能性を調査し諦めた経緯があります。

C62はTMS225号発表で4ヶ月前に完成しており、それに相応しい列車として製作された様です。 素材は0.3t真鍮板で当初計画の測板と屋根一体化を諦め、屋根は朴板から削り出して製作されてます。 その替わり左右側板を重ねて(一部形式除く)省力加工してます。

当時から不思議だったのですが、旧客の様なRがほとんどない箱物側板を真鍮製にする理由は何だったのか、ペーパー製でも必要十分な強度が得られました。 考えられるのは側板と窓枠、窓枠とガラス段差が0.4-0.5mmと0.3mmの違いによるスッキリ感かと思われます。


ではまた。

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