Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

湖南電源⑱安全性保証回路 その後-3

前回更新に対し『おじさんK』さんから頂戴したコメントで、トンデモナイ勘違いしてた事に気付きました。 ラッチ回路オフ特性の22msecは電源+とGND間アルミ電解コンデンサの放電特性ではないかと指摘を受け、調べると正にその通りだったのです。

【前回記事より転載】
電源+とGND間にはメインボード・安全性保証回路に各100μF、計200μFを設置してあり、ラッチ回路オフ(=電源オフ)時にアルミ電解コンデンサに充電された電気(電荷)がPWM出力H時0.5A、L時0.03Aで放電する時間計算すると約60msecになりました。

つまり約1000倍長い電源オフ過渡応答特性を見てラッチ回路オフ特性と勘違いしてた訳で、お恥ずかしい限りです。 電気プロ読者の適切な指摘で助かりました、『おじさんK』さんありがとうございました。 ところでこの勘違いは重大な意味を持ってます。


★解った事
まず過電流検出しPWM出力H時TR94(TR93)がオンしてラッチ回路オフできても、PWM出力L時に電源+が長時間HなのでTR92がR93とC91時定数でオンしラッチ回路を再度オンさせる、つまり2値保持機能ラッチ回路がオンしっぱなしという笑うに笑えない話です。

【前回記事より転載】
勘違いはあっても前回記事の『電圧比較』『ピークホールド』『電流増幅』機能追加の有効性は変わりません。 しかし設計完了しながら先に進めなかったのには訳がありました。

KATOやTOMIXも0.47Ω金属皮膜抵抗使った過電流検出で保護回路動作させてますが、こんな大規模な回路使ってる訳がありません、どこかに見落としがあり突破口があるハズです。 この辺りは理屈でなく勘です。


それに勘違い発見で大きな疑問が生じました、このまま進めても良いのですが、疑問解明に突破口のヒントが隠れてるかも知れません、これも理屈でなく第六勘です(笑)


★大きな疑問・・・予備実験では何故動作した?
PWM出力に使用してる2SA1359を使った予備実験では出力電圧3Vで保護回路動作、常点灯想定の出力電圧1.2Vで非動作でした。 現在の回路ではデューティー100%近くでないと保護回路動作しないと解りました、何故予備実験では3Vで動作したのか解析しました。

回路図C92 100μFは本実験で電源+ノイズ除去予防措置として追加しました、予備実験はメインボードの100μFだけで電源オフ時応答時間半分、ここで2倍違います。
予備実験では1μF前後が適当と思われたC91に手持ちがなく10μFを代用し、本実験ではマージン確認した上で0.1μFと1/100の容量に変更しました。これが大きかったのです。

過電流検出でTR93がオンTR92がオフします。 PWM出力がLになると電源+がHなのでC91チャージをR93/C91の時定数で抜き20μsec後再度TR92がオンしてます。 予備実験は20μsecが100倍の2msecでした、①と②で200倍ラッチ回路がオフし難くなってます。
TR91に予備実験では高速スイッチング用2SA1359を暫定使用し、本実験では電流容量の大きいオーディオ用2SB1018を調達し使用しました、周波数特性10倍違います。 TR92がオフしてからTR91がオフする時間Toffはデータシートに掲載されてないので確定的な事は言えませんが、本実験の2SB1018が数倍長いと推定され、①~③で1000倍前後違います。

疑問解析結果で解った事を譬え話でまとめると以上の通りで、予備実験出力電圧3Vで保護回路動作したのは、部品定数選択による偶然の結果で動作確実性の保証がありません。

解決の方策は三つあり再び譬え話にすると以上の通りです。 この内対症療法②を除外すると、①か③になります。 ①はここまでやらなくてもできるハズの想いに加え、部品数が多く基板サイズと収納スペース確保に苦慮してます、そこで③の可能性を検証しました。


★新アイディア③の検証
アクセルを踏ませない、すなわち電源+の充電電荷のラッチ回路再度オンを防ぐには逆流防止ダイオードを追加すれば可能です。

Hyper-G逆起電力保護に使用したショットキーダイオードをラッチ回路出力に挿入しました、なおC92 100μFは除去しました。 ロスは約0.2V、各ノッチ最高速度が落ち微調整必要ですが、それはまた別の話です。

挿入ショットキーダイオード両側にプローブを付け電源オフ試験すると、電源+は1Vに低下するまで100msec掛かりますが、ラッチ回路出力はほぼ瞬時に0Vになり、電源+によるアクセル効果は除去されました。 これで保護回路動作すれば①の大規模回路は不要です。

恐る恐る出力電圧1.2Vショート試験すると保護回路動作しました。 前の電源オフ試験と横軸10倍違います、ラッチ回路出力はショート後数回バタついて0.5msecでオフしてます。 このバタつきが非常に気になります、更に出力電圧を安定発振下限値まで下げました。

安定発振下限値0.6V、20KHz強です、0.6Vは電源電圧5%でデューティー5%、約2.5μsec幅のパルスが並んでます。 ここで出力ショート試験すると保護回路が動作したりしなかったり懸念してた結果になりました。

保護回路動作時の応答特性です、ショート後ラッチ回路出力は何回もオンオフを繰り返してバタつき3.3msec後にオフしてます、保護回路動作しない場合はバタつき後に再オンしてると考えられます。 電源+のアクセル除去したのに何故こんな事が起きるのか?、残る要因はこれまで電源+にマスクされ計測できなかったTR91のToffしかありません。

【『安全性保証回路 その後-1』より転載】

2SA1359のHyper-G出力Toffは1.3μsec、予備実験は低損失重視でベース電流2倍にしたので2-2.5μsecと推定されます。 本実験2SB1018は周波数特性1/10なので10μsec前後と仮定して、本実験ラッチ回路オフし難さ3条件合わせ1000倍と推定しました。 ショットキーダイオード挿入でToff計測可能になったので計ってみました。

チョッと驚く結果、推定値3倍の30μsecでした。 ダイオード挿入前TR92が再オンするまで20μsecでした、それより長いToff30μsecではTR91が自分で自分をオンしてしまい、それがバタつきの原因と解りました。


★設計やり直し
TR91は電源オンでオンし過電流検出でオフするだけなので高速応答性より損失少ない方が良いと考え2SB1018を選定しました。 これが大失敗、電気一般は理解できても電源プロじゃないので仕方ありません。

2SA1359でラッチ回路動作確認予備実験しましたが、電流容量不足と2CHフルパワー時損失が大きく使えません。  ダイオード追加損失で後段回路見直し必須なので、低損失より高速応答性を重視し、2SA1386に置き換える事にしました。

【最終回路】・・・赤字更点。
TR91ベース電流減らしたのでR93/R94を5.6kΩ⇒10kΩに変更し、C91の0.1μF⇒1μF変更と合わせTR92再オン時定数を18倍にしました。 TR91変更と合わせラッチ回路再オンを防ぎバタつきをなくす対策です。

部品配置も再設計、発熱するベース抵抗影響を抑える様に工夫しました。 電源ライン青部でパターンカットしてショットキーダイオードを入れます。 2SA1386と1μFが不足部品、またまた秋月調達でトホホです。


ではまた。

KATO D51ナメクジ届きました

11月27日宅急便で荷物が届きました、予約注文のD51ナメクジです。

良く利用するこの通販店は送料無料下限金額が設定されてるので、いずれ必要になるTOMIX腕木式副本線用場内信号機1基同時発注でクリア、久し振りに製品リストチェックすると、KATOからスポート含む小物セットが発売されてたのでついでにポチッしてました。

外観は相変わらずのKATOクオリティ、早速レイアウト上でD51ファミリーに御対面です。 当社は蒸機入線整備を業務提携先の湖南工場へ委託しており、先日購入したハチロク2両もそのままになってます。


2年前6両入線整備に対しレイアウト制御法開発、今回はバーターで供給を約束したHyper-G高機能2CH湖南電源完成納入が遅れてるからで、ネジを巻き直さなければなりません。

生野駅留置線で長野式集煙装置付きとのツーショットです、外観が明確に差別化されたバリエーション展開は良い物だと感じます。

KATO新製品告知でスタイルブック確認するまで知らなかったのですが、確かにナメクジのキャブ屋根は標準型よりわずかに短くなってます。 製品特長明記は以前バージョンが標準型と同じだったからと思われます、知ってしまうと小さな差が気になるんですよね。

シルエットラインがクッキリする夕陽ライト当てて一枚、ナメクジドームとボイラーの接続ラインも美しく造形されてます。

部分レールクリーニング区間で走行させると、ロッド動きが見える低速からスムースに加速するKATOコアレスモーターの上質な走りです。 入線整備前で常点灯不能なので、明るくした南基台で低速走行写真撮影をしました、ヘッドライトは十分高輝度に点灯してます。

蒸機模型はそれが似合う風景の中でより引き立つと感じてます。 最近2回半世紀前のTMSを紹介しましたが、当時のカツミ16番D51と同価格で精巧で走行性能が格段に良い蒸機模型入手できる幸せを改めて感じます。


ではまた。

半世紀前のTMS 1963年12月号②

前回の続きでTMS1963年12月号からです。 57年前なので生まれてない読者も居らっしゃると思います、ちなみに雑誌著作権期間は50年です。

【前号より転載】
前号で天賞堂・カワイ・鉄道模型社のTMS掲載広告を紹介しました。 今回はTMSに掲載されてた当時の鉄道模型各社の広告も見て行きましょう、時代背景が現れて興味深いです。

大手4社積み残しカツミから、TMS表紙見開き天賞堂、裏表紙カツミが指定席で全ページ広告を打ってました。 それはそのまま鉄道模型業界のポジションを表しており、カツミは天賞堂に次ぐN0.2と目されてました。


C51、D51、C62と国鉄大型蒸機をリリースしたカツミ4番バッターが何故C53だったのか?、未だに謎です。 昭和初期に東海道本線を走った馴染みのない3気筒蒸機、多分ビジネス的には大失敗だったと思います。

カツミまでを大手4社と書きましたが比較論で、ニッチの鉄道模型に社会通念上の大手企業は現在まで一度も参入してません、従って以下は零細企業です。 トビーは自由形ばかりのタンクロコで唯一スケールモデル4030を販売してました。 『その後』を調べると予告のC50に続き、C11/C58/8620の16番真鍮モデルを生産販売したとあり驚きました。

当時の小学生が親に買ってもらった入門モデルの一つEF13/15デフォルメEB電機は遠藤製品です。 現在コレに相当するのは機関車トーマス程度、他の入門セットはバリバリスケールモデルの新幹線やD51列車です。

完成品だけでなく車体キット等も多くのメーカーが参入してました。 真鍮製ハンドメイドで成形金型に大きな初期投資が必要なかったからです。 下の日東科学教材も模型メーカーで、入門用DB機(モーター付完成品送料込¥750!)やBタンク機を販売してました。


零細メーカーが多く存在したのは市場規模は小さくとも伸び率が大きかったからで、自動車やバイクと同じです。 前回東京オリンピック前の所得倍増政策好景気の時代でした。

つぼみは小型機関車に特化しており、前出日東科学教材とは別物のDB機、Bタンク/テンダー機を製造販売してました。 左のマルタは大阪で全く馴染みなく、広告見ると輸入モデルの販売業者の様です、懐かしいですねN前最小のTTゲージ、12mm軌間、1/120でした。

宮沢模型のC58は筆者が唯一所有した16番蒸機で思い出があります、完成品で¥5500前後だったと思いますが、現在価格換算4万円弱は高校生筆者には高い買い物でした。

京都が本社のマツモトには縁があります。 中学校修学旅行は関西、小遣い¥1500と決められてました。 マツモトペーパー車体スハ32¥1300、残りで八つ橋と清水焼湯飲み茶碗しか買えなくても大満足でした。

コレも保存してます、名工初代の作品です。 現在は3代目が¥18000で販売中、他の物価上昇率に対して14倍と高いのは手工芸品だからだと思います。 これも走る事なくゴミ箱行きの運命、終活が必要ですね。

先年廃業したシノハラも元気でした。 プラ枕木レールラインナップが充実しており、レイアウト製作用にかなりの量を買い集めましたが、敷設される事なく廃却になりました。

t鉄道模型メーカー日東科学教材と大変紛らわしいのですが、各社鉄道模型販売のニットー教材という会社もありました。 広告コピーに『京都の製品がすぐお手元に!』とあるのはマツモト製品を扱ってたからで、通販ポチッの現在から見ると隔世の感があります。

模型店や販売店でガラスケースに入った16番車両を眺めるのは、鉄道好きの子供にとって至福の時間で、『大人になったら買える様になりたい』と夢を持てる、豊かではなかったけれど幸せな時代だったと思います。


さて広告巡りと思い出話はここまでにして記事本文を見て行きます。

『いつかはTMSに自作車輛工作記を』は車両製作者の夢で、大作・力作で2回連載はあっても機関車1両で3回連載は他に例のない特別扱い、それはこの東武のネルソンが頂点を極めた最高峰の秀作だった証拠です。

どこからどう見ても細密で正確な出来上がりで、只々ため息ついて眺めるだけでした。

不器用は生まれつきで、パイピングや部品製作追加経験はあっても、真鍮製蒸機自作はハナから諦める遠い存在でした。

ペーパー車体箱物製作経験はあり、20系さくら製作記はぐっと身近で、手の届かない場所の話でなく、参考になりました。

16番の良い処は室内製作が十分可能なスケールである事で部品も販売されてました。

この号の新製品紹介は鉄道模型社のEF61、ボディ上回り未塗装と下回り別体のキット販売で¥5500です。 後に塗装済み完成品も発売されたと思うのですが定かでありません。

このEF61が¥6000弱、カツミC62が¥11000でくしくも現在のN電機/蒸機と同価格帯になってました。 つまり当時のオールブラス16番ロコに比較し精密成型金型製のN電機/蒸機が1/7の価格で入手可能なのが現在です。 鉄道模型の大衆化はご同慶の至りです。

この号のカツミ指定席裏表紙は蒸気機関車スタイルブック広告、TMS定価¥140は変っておらず、東京オリンピック後に¥190に値上げされました。 この号には11月号に続き『駅をレイアウトする』が連載されてますが、稿を改めて紹介する予定です。


ではまた。