Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

TMS特集 楽しい鉄道模型⑤最終回

2-3回予定でしたが読み返した結果5回シリーズになってしまいました。

最終回は車両製作記と参考情報、最後にペン画集の特別増刊号です。


★車両製作(cont.)
⑤客車ペーパーキットの組立
当時市販されてた16番車両は真鍮等の金属製が大半を占めてましたが、自作車輛となると蒸機を除き木と紙が主要材料でした。

小高模型から硬質紙窓抜き加工済の各種客車車体ペーパーキットが販売されており、筆者もオハ35系を数両製作しました。

天賞堂オシ17、鉄道模型社スロ44とナハ10を2両所有しており、急行編成完成に荷物車と緩急普通車が必要だったからです、オハ35系は急行編成組入可能な万能形式で重宝でした。

キットは車体のみで台車/車輪/カプラー/床下機器は含まれてませんし、塗装も自分でやる必要があります、車体キットは確か¥120ほど、材料合計¥500-¥600でした。

そう言えば小高模型車体キット箱が部品箱にあったハズと探すと出てきました。 箱に貼られた形式/価格シールはインク変質で読めませんでしたが箱の印刷はハッキリ読めます。

客車だけでなく電車や気動車まで、ナハフ20やキハ82の立体造形をどんな形でペーパー車体で再現してたのでしょうか?、不思議です。

半世紀振りに開いたタイムカプセル中身はコレ、ペーパー車体キット余材入れになってました。 角材は天井壁接着と床板嵌め込み部補強用、床板3枚中1枚はM車モーター逃げ付きで、1番下はR付き屋根板です。
⑥ただいま電車製造中
自作ペーパー車体模型製作法の解説です、この記事参考に製作予定レイアウトR450通過可能な16m級ナハ10タイプ客車車体を5両製作しました。

河内電鉄の命名が示す通り関西在住の製作者で、TMS誌上に製作記を発表されてました。

模型世界の右も左も解らない初心者高校生の模型製作挑戦には非常に有用な情報でした。

筆者には馴染みのない近鉄車両ですが長距離路線関西の雄、関東の東武と同系列2扉車に共通項が見られます。 調べれば解る事ですがセミクロスシートだったかもしれませんね。


★その他
①石炭搭載法

現在のN蒸機は購入状態で搭載済みですから不要かもしれませんが、当時は購入後ユーザーが自分で搭載してました。

その際参考になる情報源はTMSしかありませんでした。 筆者も宮沢C58テンダーに素材忘れましたが黒ラッカーで石炭搭載した覚えがあります。

E/FがNG例示、Aが一般形、B/Cが給炭直後の姿、Dが給炭後使い込まれた姿と解説されてます、現代Nでも同型機多数在籍の場合の差別化要素に使えそうです、当社は不要ですが。
②ナンバープレート
蒸機を自作する人に取ってナンバープレートは悩みの種だった様です。

写真使ったナンバープレート製作法が紹介されてます、記事によると当時も受注生産エッジング品があった様ですが相当高価だったと思います。

描画ソフトどころかPCもない時代ですから、ボール紙から数字を切り出し、数倍サイズの原画を銀塩フィルム写真撮影して製作する方法です。 原画製作はパワーポイント、写真は1200万画素デジタルですが、原理は全く同じ技法を当社も使ってます。

職場の高性能機で縮小コピーできる人は良いですが、家庭用プリンターでは解像度低くて全くダメ、パワーポイント作成原画を撮影し写真プリントでシール製作してます、この民家の表札と屋号看板もその技法です。

一番小さいシールは0.8mm幅の駅名標、今じゃシール製作できても真っ直ぐ貼る視力がありません、年は取りたくない物ですね(泣)


★エッセイ『安楽マニアもまた楽し』
巻末にTMS146号掲載エッセイが収録されてます。 ペン画タッチと執筆者名から解る通り『陸蒸気からこだままで』の作者です。 筆者所有最古153号は連載開始前ですので、このエッセイから企画された様です。

冒頭には『買って来るぞと気負いたち誓って街へ出たけれど、ついついフラリとビアホール一ぱい二はいが又三ばい、到頭台車は又来月』と安楽マニア化した我身を嘆いてます。

この述懐読むと趣味と家族、特に嫁さんとの関係は半世紀を経て何一つ変わってないと思うのですが如何でしょうか? 著者製作計画をペン画にされてます、『陸蒸気からこだままで』番外編としてお楽しみください。

最初に製作したい車両として大正時代中期の優等列車を挙げておられます。 英国調4-6-0 3軸テンダー蒸機に16m級木造ダブルルーフ客車6両の1編成です。 当時の車両として必要不可欠なディテール緩衝器に運転を邪魔しない良い部品発売が待たれると書かれてます。 

最後尾は展望車、その前は1/2等合造車で1等はコンパートメント、両端にボーイ控室がある凝り様です。 ペン画は設計図、窓配置は室内構造設計を反映してます。

電車の製作計画は荷電から始まります、設計完了しても駆動系収容目途が立ってません。

2番目はデ1型を近代化した京急スタイル、氏は『最近の京急が旧京急スタイルの伝統をかなぐり捨て新たな京急スタイルを形成しつつありますが、マニア気質は保守的な物、私としては矢張り浅い屋根、大きな窓の昔を忘れる事ができません』とコメントされてます。

3番手は東武スタイル合造車、荷室側非貫通、客室側貫通と両側で表情が異なります、編成先頭でも1-2両の貨車を牽かせてトコトコ走らせても似合うと書かれてます。

4番手は満鉄モデル模型鉄道用に設計した電車だそうで、筆者カバレージを越えてます。

電車の最後は貴賓車、社長が賓客を迎え優雅に沿線案内する際に使用する専用車が想定の様で、何とも楽しい空想の世界です。

貨物編成は個性豊か、『険しい山々、そこを縫って流れる鉄分を含んだ赤い氷の河に架かるティンバートレッスルの橋、深い谷間に並ぶ酒蔵、鉱山の櫓、そしてそこにはドラフトのこだまが喘いでいる・・・』と創り出したい風景世界、シナリオ描写が記されtます。

『私の遊び』と注記されてますが良いですね味があって。 以上長々と紹介しましたが、鉄道模型界の変わった物、変わらない物について色々考えさせられました。[本項完]


ではまた。

KATO 2021/5月新製品情報に想う事

記事タイトル見て何を今頃と思われるかもしれませんが、毎月発表される数ヶ月先の新製品情報チェックして購入予定組むのは筆者には遠い世界の話、年数回チェックするだけなので周回遅れになってます(汗)

【急行『ろふと』号】
興味があるのは国鉄時代ローカル線だけ、その上車両収集癖ないので平均数百両在籍してる皆さんの鉄道から見ればごく小規模、意味もないので数え直してませんが70両弱です。 KATO 5月新製品には目ぼしい物がないとどこかで読んだので『どーれ』と覗きました。

【KATO HPより】
珍しい事もある物です、形式名も外観も全く馴染みのないJR車両ばかりが通例ですが、5月は丸で昭和の車両祭り、筆者が知ってる形式が並んでます。 これでは物心付いた頃にはJR世代が『目ぼしい物がない』と言うのも解ります。 EF58や151系こだまは60年前ですし、EF64も一番新しい381系さえ国鉄車輛、登場から間もなく50年です。


限られた投資で利益最大化を図るのが企業の使命、例え単月にしてもこの偏りは何故でしょうね。 蒸機別にした国鉄車輛に懐かしさを感じ興味持つのは50代半ば以上と思われ、想定顧客の1/3、その層の購買力が高いとしても5割は超えないハズ、この企画は不思議です。

【2016.08.20更新】
新製品発売に関する雑感は5年前にも書いてます。 『小型化による長編成化』『レイアウト増加』『趣味許容支出額増加』を背景に『実質4倍の趣味支出』で『40倍の車両保有』が新製品氾濫の背景と分析してます。


以降も毎月各社から新製品ラッシュ、一方JR各社が毎月新型車デビューさせてる訳もなく、寝台急行▲▲セットや、◆◆◆系◇◇色とか、EF▼▼XX機関区仕様とか2番煎じ3番煎じが多い昨今の状況を見ると、模型化する車両の種が尽きつつあるのではないでしょうか?。

【KATO HPより】
KATO 5月発売唯一のJR車両も2番煎じ組、月次新製品が1ページに収まらない状態が何年も続けばネタに困るのは当然、コロナ影響が少ない高齢者懐を狙う戦略でしょうか? キハ58パノラミックウィンドは1両あっても良いかと危うくKATO戦略に乗るところでした(笑)


自分が好きな車両をどこかが製品化しないかと待ち望んだのが昔、今は◆◆欲しいけどA社にする?B社にする?です。 出せば買ってくれる需要下支えのコレクターも新味がなければ食欲も湧かないと言う物、モデル化する車両不足は今後益々深刻になると思います。

【KATO HPより】
ところでKATOさん、N国際規格英国型1/148を守ってますね。

【KATO USA HPより】
米国では現地法人KATO USAを通じNとHO米国モデル販売してます。 Nは1/160軌間9mm、HOは1/87軌間16.5mmです。 そこでチョイと気になり『KATO』『Europe』と『KATO』『UK』でググって見ました。

【KATO英国販売代理店(推定)HPより】
やはり世界連結売上高わずか55億の中小企業KATOには自前欧州現地法人は無理で、英国で販売代理店契約してるとみられるGaugeMaster社(模型店)がヒットしました。 上は大陸モデルで1/160、下は英国モデルで1/148、双方共に国際規格の正統なNゲージです、目が肥え規格に厳しい海外でインチキモデル販売できませんからね。

【KATO HPより】・・・このEF81は1/87?
一方HO国際規格は1/87スケールを意味します。 16.5mm軌間を走る日本型1/80 16番のHO詐称は何故ですか? 製品品質良くてもレール同じだからHOではゲージやスケール語る資格なし、猛省を促します。 日本は規格管理団体もメーカーに物申すユーザー団体もないからこの様な出鱈目が罷り通ってます、国内ユーザー甘いからと舐めてるのでしょうね。

【英国Hatton社HPより】
余談ですが『KATO』『UK』検索でPecoレール調達先Hatton社が引っ掛かり、覗くとスーパーおおぞらとカプラー1個紛失北斗星中古品が載ってました。 注目すべきは左上スケール欄、OO(ダブルオー)、O、Nの3種でHOはありません、鉄道発祥英国の軌間16.5mmはHOでなくOO1/76なのです。 16番1/80は英国と米国の間を取った日本独自規格です。


ではまた。

TMS特集 楽しい鉄道模型④CBと車両製作

1冊で長く引っ張るつもりなかったのですが内容盛り沢山で長編シリーズになりました。

今回は制御技術積み残し運転制御盤と車両製作編です。


⑤コントロールボード(運転制御盤)
鉄道模型に電気知識ほとんど不要になってもレイアウトはそれぞれ個別仕様、電気知識不要にしたTOMIXはレアウト製作推奨しても制御盤販売してませんし、設計サポートしてる様子もありません。 と、ここまで書いて気になり調べてみました、すると。

【1991年TOMIXカタログより転載】
30年前のTOMIXは誰でも簡単に鉄道模型を楽しむ為の努力をしてたと解りました。 コントロールボードを製品化するトータルソリューション提案してこそレイアウト製作推奨する資格があると思います。 高価で販売数少なく利益が出ずに供給停止したのでしょうね。


当時のTOMIX道床脇マシン型ポイントは通電切替不良が少なかったと聞いてます、どこで道を間違えたのでしょう、釣り上げた魚には餌をやらない経営方針に見えます。 現在の電気苦手なTOMIXユーザーはどうしてるのでしょう?、バラック組み制御盤?、不思議です。

コントロールボード製作法については実に14ページを割いて詳細に解説してます、当時からレイアウト製作最大のハードルだったのが背景で、冒頭に機能要素をまとめてあります。
イ.電源装置
ロ.速度制御装置
ハ.区間選択装置
ニ.ポイント切替装置

イ・ロはパワーパックに、現在はニも組み込まれてますから、コントロールボード製作のキモは区間選択機能とイ~ニを如何に使い易く解り易く統合するかです。 現在一般技法化してるコンデンサポイント切替、制御盤線路配置図上トグルスイッチ設置はその好例です。

添えられた図を見て勉強した覚えがあります、レイアウト製作するならデュアルキャブコン方式制御盤作ってと考えました。 50年以上経った今もDCCが加わっただけでアナログレイアウト制御標準がデュアルキャブコントロールであるのは何も変りません。

掲載されたデュアルキャブコン配線図例では選択スイッチ2P/3P区別付きません。 本線はA/Bいずれかの2P、駅構内線は留置可能な3Pが良く、当社従来線は本線3駅構内線7の10セクションデュアルキャブコンです。

左右にキャブA/Bを、中央に区間選択とポイント切替を配置するのが操作性から当然の結果です。 当社従来線もその様になってます。

半世紀の技術進化はコントロールボード小型化に集約され、当時よりはるかに高機能なデュアルキャブコン制御盤容積は数百分の一になってます。

運転中の脱線ショート事故は時折発生し、都度ヒューズ交換は手間もお金も掛かり大変です。 従来線建設時にヒューズ10本切ってポリスイッチに交換しました。 点灯発熱で抵抗値が上がる自動車用白熱球代用法やサーキットブレーカー使用法が解説されてます。

機械式PWMとも言うべき米国鉄道模型誌掲載方式も紹介されてます。 15回/秒のローラー回転速度でモーター唸り音を可聴周波数以下に抑えるアイディアですが、灯火装着車両には点滅が見え使えません。

先日紹介した脈流運転も解説されてます。 筆者はBの全波/半波整流スイッチ切替方式を実施しましたが、脈流運転には改善策があった事を今回始めて知りました。 半波⇒全波切替時の速度ジャンプを解消するCの補助抵抗で徐々に半波⇒全波切替を行う方法です。

その為の部品も販売されており、速度調整主抵抗器40Ωと半波⇒全波切替補助抵抗器400Ωを同軸にしたタンデムレオスタットがそれで、引用されたまくらぎ会コントロールボードに装着され、全波/脈流切替スイッチが装備されてたそうです。


TMS山崎氏は速度調整半分で補助抵抗器ゼロの改善提案コメントされてます。 トランジスタコントローラ普及前の運転品質向上に取り組んだ先人達の足跡を辿る思いがしました。


★車両製作編
①自由形古典蒸機
タイトルが『やさしい』鉄道模型なので高度なスケール細密機工作記は掲載されてません、本誌掲載一番難易度の高い工作記です。

100%真鍮板工作ですから『やさしく』は一通り経験積んだ上で相対的にの意味です。

このモデルは巻頭グラフ掲載です、 『やさしく』に煽てられ挑戦する勇気ありませんでしたが、半田付け苦手な友人がエポキシ接着剤組立に失敗し譲渡されたC12キットがあり、この記事読んで製作計画立案しました。

一番精度必要な台枠・ロッド類はC12キット部品が使え動輪もある、ハチロクを一回り小型化した1Cテンダー機を設計しました。 この図面の影響受けペーパー加工で片ボギー式3軸テンダーだけ先に完成してました、肝心の本体は図面だけの計画倒れに終わりました。
②Cタンクロコ加工
当時も入門用セット販売があり、R600またはR450エンドレスと直線数本、廉価版パワーパック、機関車はEB電機かCタンクロコ、2軸客車か貨車2-3両が標準的セット内容でした。 それでも現在Nのスケールモデル入門セットより高価、現在感覚で4-5万円でした。

各社の比較的安価なCタンクロコを1C1に改造する工作記が掲載されてます、御覧の様に足元の落ち着きと風格が別次元です。 別号にはこの下回り改造に上回りとテンダー自作のC58タイプ製作記も紹介されてました。
③小田急貨車トフ120
小田急は開業時から貨物/荷物輸送をしており、80年代廃車されたトフ120製作記です。

無蓋貨車中央に緩急室を備えた愛らしい外形です、撮影地は経堂車庫と思われます、当時の世田谷は郊外で住宅の中に畑が点在する風景でした。

小田急貨物輸送を調べると凸電や電機も在籍しており、砂利運搬を行ってたとの事、前回の東京五輪建設ラッシュ時に相模川の川砂利を輸送してたのではないかと思います。

トフの前に連結された全長の短いボギー無蓋車は国鉄にないタイプで小田急車両と想定して調べましたが解りませんでした。

尾灯点灯式で小型セレンを使い、後方のみ点灯する様配線してます。
④石炭輸送車ホラ800
石炭車と言えば北海道や北九州のセキを思い浮かべます。 これはカワイのセムに屋根を取り付けセメント輸送ホッパー車への改造記事ですが、タイトルは何故か石炭輸送車です。

右下が種車のカワイ製セム、¥340/両と当時の価格が書かれてます。

記事とグラフで形式名も異なりどうやらホラ1が正解、結構校正ミスも多かった様です。 今回はここまでです。


ではまた。