Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

TMS特集 楽しい鉄道模型①/摂津鉄道

ブログ開設5周年感謝と新年のご挨拶で紹介した『図解鉄道模型入門』は、多分昭和20年代か30年代初頭にTMSに掲載され、特集シリーズ『たのしい鉄道模型』に再録された物です。 今回はそのネタ本紹介です。

表紙は小田急NSE、当時の花形車両です。 この特集シリーズはテーマを絞らない曖昧さが特徴で、敢えて言うなら鉄道模型は楽しいよ、難しくないよのメッセージ発信でしょうか、レイアウト紹介2件、簡単なストラクチャ/車両製作、制御技術関連と多彩な内容です。

そして不思議な事に例の『図解鉄道模型入門』は当初編集では掲載予定がなかった様で、『貨物駅を作る』P22-P24と『第3次オメガセントラル』P25間にページ表示なしで4枚8ページ割込み目次掲載もありません。 校正終了後か増刷時に後付け追加された形です。

初版1964年、筆者所有本が1967年第4版で、その上に『改訂版』の文字が見え、この入門書的特集シリーズにふさわしい記事として初版以降に追加掲載されたと推定できます。

特集シリーズ目玉はレイアウト紹介、第3次オメガセントラルは銀座天賞堂店頭レイアウトです、完成年代から目の保養に何度か訪問した際に見てるハズですか記憶にありません。

天下の天賞堂レイアウトですから堂々たる規模です。 2本のホームを跨線橋で結びトロリーライン乗入れ、機関車停止位置にカプラー開放ランプが見えると解説があります。

ザッと2.5mx5mのスペースに周回と8の字2エンドレスにリバースを組み込んだ線形で、『見せる』目的なのでトンネル区間を短くしてあり、同時期に完成したカワイ店頭レイアウトに酷似した線形なのが面白いです。

鉄道関連施設だけでシナリーはこれからなのでしょう、ガランとした荒野に線路だけの印象です。 TMS山崎氏は『樹木400本植えたと言うがこの規模のレイアウトにはまだまだ不足』とコメントしてます。

右奥に設置されたスノージェッドが風景に変化を与えアクセントになってます。 ここを天賞堂DF50牽引軽量客車や9600貨物列車が走ってたのか~と暫し感慨にふけりました。

珍しい当時の大型レイアウト制御盤写真です。 ズラッと並んだのがポイント切替端子、線形図には開通方向表示ランプ、右下2個ツマミが2CH走行電源速度調整、その左9個はフィーダー選択SWの様です、天賞堂なのでトランジスタコントローラ組込みの可能性大です。


それにしてもアナログメーター5個は何?、推定は走行系2CH電圧・電流で4個、最後の1個はポイント切替/ターンテーブル電源の電流です、天賞堂が某社制御機器の様な虚仮脅しメーター付ける訳ないですからね。

レイアウトもう一件はTMS誌上に蒸機製作記を多く発表してたN氏の明昌鉄道、これはレイアウト紹介が目的でなくN氏執筆本文ストラクチャ製作記前振りの位置付けです。

明昌鉄道は組立式大型レイアウトですがストラクチャが充実してるのか特徴で、例えばこの線路脇の機関庫製作記が本文に掲載されてます。

こちらの3線扇形庫製作記も掲載されてます。 先に風景や車両と共に完成形を見せてから作り方は読者誘導の常套手段ですね。

線路配置図がありました、複線地上エンドレスに単線高架エンドレスと連絡線、2850x3800の大型組立レイアウトですが単純線形、周回させ見て楽しむコンセプトの様です。 TOMIXカーブポイント的用法で有効長を稼ぐやり方は当時から筆者の好みに合いませんでした。

当時のレイアウトは線路だらけで同時走行列車数が多い方がエライ雰囲気がありました。 組立式の制約があり、木製道床レールにシノハラフレキ継ぎ足し、レール塗装/バラストなし、地面なし直置きストラクチャ、剥き出しポイントマシン、でもレイアウトでした。

レイアウト作るウデも金も時間もない、でも自分が作りたいのは絶対コレじゃないと感じてました。 何やりたいか解らない中、龍安寺鉄道延長部には惹かれました、そして『そうだコレだよ』と自分のレイアウト志向性を確認したのは摂津鉄道の登場になりました。 摂津鉄道については、いつか書きたいと思ってましたので脱線させます。

理想のレイアウト摂津鉄道製作記は、筆者が手放した1964-1970年のTMSでわずか3回でした。 筆者世代バイブルは『レイアウトサロン』でしたが一回り下世代には『レイアウトモデリング』、そのメイン記事が摂津鉄道の製作と知り、早速古本を探して購入しました。

【著作権有効期間内なので内容転載を控えます】
まず『蔵本村』『砕石場』『製材所』は初見で筆者定期購読停止後発表、最低7-8年の歳月を掛け完成したと解りました。 また『レイアウトモデリング』収録に際し大幅に加筆修正され、読物としては解り易く充実しましたが、オリジナルとは印象が違ってました。


『私はこうしてレイアウトにふみきった』『プラットフォームの表情』はオリジナルにない加筆部分で、建設着手経緯やシナリー製作意図を解説する役割を果たしてます。 TMS誌上に最初に掲載されたのは蔵本駅の製作で簡単な計画と建設経緯が添えられてました。

【オリジナル記事掲載画像として転載します】
何の前触れもなく発表された8620が引くダブルルーフ客車列車が停車する蔵本駅は衝撃的で、それまで見た事ないレイアウトでした。 国鉄職員製作者が湖東線貨物列車緩急車から眺めた何の変哲もない田園風景を美しいと感じたエピソード記載が印象に残ってます。


『レイアウトモデリング』掲載時に構成の都合で製作記事も書き換えられてます。 上記図面貨物側線対角は引込線とだけ記載され、その時点で何を製作するか未公開でした。 旅先で見たローカル駅の落ち着いた佇まいと貨物ホーム裏の水溜りにはイチコロでした(笑)

【オリジナル記事掲載画像として転載します】
忘れた頃に2/3回目製作記掲載、公開順は記憶が曖昧ですが一方が農業倉庫、他方は加筆改訂で幻の記事になりました。 稲刈り後水田が広がる築堤上の本線と発煙装置付きもみ殻焼きの風景製作記で、完成形から見るとこの記事ユニットが蔵本村の一部になった様です。


オリジナルは製作順に長期に順次発表、『レイアウトモデリング』収録版は完成後に遡って解り易く再構成した結果だと思われます。 製作者の試行錯誤や迷いのプロセスが読み取れるオリジナル記事を通しで読みたいと思いますが、今となって難しそうです。

【中山平対向ホーム】
40年以上レイアウト製作の夢から遠ざかっても、摂津鉄道の強いインパクトは心の中に保存されており、露太本線設計にも色濃く反映されてます。 出来栄えは比較にもなりませんが当社中山平駅のモチーフは蔵本駅です、今回は意図的脱線で紙数が尽きてしまいました。


ではまた。

Wさんレイアウトで遊ぶ③やればできる!?

お楽しみにと期待持たせて引っ張るのも嫌なのでシリーズ続編を連投します。 Wさんからサポート依頼受けたのが12月10日頃、線路配置助言も欲しいの追加依頼を受け、ブログ記事化了解を得て作業開始しました。

【鉄橋脇の保線小屋】


4.大どんでん返し
Wさんレイアウトで遊ぶ①プロローグ公開の12月24日には線路配置設計完了しており、図面作成して1月3日公開続編執筆に掛かってました。 Wさんに公開日通知してませんでしたが、年末の忙しい時期に拙ブログを読んでくれた様でメールが届きました。

返信と情報提供が遅れたお詫びと共にアッと驚く内容が記載されてました、ユニトラックで使用ホームは何とTOMIXローカルホーム、しかも入手済なのです。 KATO近郊型ホームのY字型上屋が気に入らず、TOMIXホームの雰囲気がイメージに合ったからだそうです。

松重豊さん出演名刺管理システムTV CMのセリフ『それ早く言ってよ~』です。 ユニトラック島式ホーム幅26mmまたは42mm、TOMIX適合外の筆者記事読んだら慌てるの無理ありません。 Wさん多分文系人間です、理詰めの理系人間にはこんな無茶できません(笑) 線路配置で悩むのも当然です、レールとホームの設計思想がバラバラですから。

【生野駅3・4番線ホームバードビュー】
でもWさんの選択を責める事できません。 KATO近郊型ホームY字型上屋が気に入らなかったのは筆者も同じ、2mm狭いGMローカルホーム検討してNG、上屋だけ移植したのでホーム先端雨に濡れるの許容してます、ファイントラック用TOMIXは考えもしませんでした。


筆者とWさんの違いは理屈の枠内で考えたか、感性に従ったかの違いに過ぎず、文系/理系どちらが優れてるとか言う話ではありません。 しかし困りました通常敷設で66mmになるユニトラックをホーム幅差分狭い61mmにしないとTOMIXローカルホーム使えません。

年末線路配置検討結果図面を送ったWさんから返信がありました、機関区入出庫線追加案がWさんが考えてた『やりたい事』にジャストミートした様です。 こう言われて『ではTOMIXホームを捨ててKATOとGM購入し、組合せ使用してください』とは返せません。 Wさんには『チョッと待って考えてみるから』と伝えました。


5.ユニトラックをTOMIXホームに適合させる
5-1.やって見なきゃ解らない!
何とかしてあげたいという気持ちはあっても成算がある訳ありません。 

でもね、こんな突飛な組み合わせ使用検討これまでした事ありません、年寄の説教じみて恐縮ですが、駆け出しエンジニアの大昔に恐~い先輩から言われた言葉を思い出しました。

コレ至言だと思います、技術分野に限らずその後の筆者サラリーマン人生で乗り越えてきた様々な場面で正にその通り、筆者も後輩にこのフレーズ何回か使わせてもらいました。


5-2.案ずるより生むが易し
兎に角やってみるしかありません、エライ事に首突っ込んでしまったという後悔よりも新しい事にチャレンジするワクワク感の方が勝ってました。

条件③を除き前回と同じですが、①の特殊レールは必要なら作ってもらうしかないと考えました。 どうなる事やらのスタート、まずは3-4番線間をどう61mm化するかからです。

クロスとR718間のS64を何mmにすれば良いかの計算結果は44.6mm、KATO90度クロス用端数レールS45.5と0.9mmしか違いません。 S64をS45.5に置き換えて計算した3-4番線間隔は61.2mm、分解能0.5mmの筆者線路配置ツール作図結果は61mmでOKです。

更に好都合な事にS64⇒S45.5変更で移動する4番線直線開始点移動量は片側18mm、両側36mmで端数レール使えます、作図だけでは心配で数学的検証しましたが0.05mm誤差で無視できます。 丸でTOMIXホーム使える様にKATOが端数レール用意してるみたいです。 この結果は15度クロス含むWさん中央駅構内線形に留まらず、大きな意味を持ちます。

【ユニトラック追加で有効長自由自在】
ユニトラック遣いの方はお気付きかと思いますが、ユニトラック既製レールだけでTOMIXローカルホーム使用可能なのです。 端数レール使用効率悪いですが、Wさんの無茶と筆者設計コラボが新しい用法提案になりました。


5-3.Wさん事例基本線形の検討
いくら想定外対応で特殊レール使用OKにしても、特殊レールが多ければフレキの方が楽になってしまいます。 それが既成レールだけで1-4番線敷設可能、上々の滑り出しです。

5番線は4番ポイントからS60にS29加えてR718接続すると4・5番線間がピタリ33mmになりました。 さすがに横方向は既成レール対応できずS44が必要です、ただし基本形なのでこの表記にしましたが直線区間なので5番線にS88を1本用意すればOKです。


6番線はWさんメールから機関区入出庫線設置が確定的なのでR718とR481組込み必須、5.6番線間61mmにするにはS21が必要と解りました。 S21はユニトラック敷設で大量余剰になるS60非切欠き部加工で作れます。 道床加工が面倒ですが、S21一方は電気設計でギャップ設置位置なので、ジョイナーなし突き合わせ0.5-0.7mm間隔でもOKです。 直線区間はこれもラッキー、S64で2mm誤差修正で右端が揃いました。


5-4.Wさん中央駅構内線形の提案
TOMIXローカルホームに対応するWさん6線駅のユニトラック敷設は、5番線のS88と5・6番線間のS21x2本以外は既成レールでOKの結論になりました、個人的に120点の出来です。

機関区入出庫線設置が確定的なので6番線単一30度カーブ化検討は省略しました、TOMIXホーム基準寸法140/280mmで図示してます。 筆者好みの貨物側線はS36追加で1番線との間隔61mmになり、TOMIXホームを140mmオフセット設置の前提で図示しました。

多分これがWさん採用最終形になりますが、6番線R718を6番ポイントに置き換えた機関区入出庫線設置線形で、6番線間距離はユニトラック51mmから47mmに短縮してます。 機関区入出庫線も幸運な事に、特殊レールなし既成レールだけで敷設可能です、200点(笑)

前図右上に仮置きしたS124Uは筆者アイディアの三重連用で、Wさんに大変気に入っていただけました。 ギャップ・フィーダー等は電気制御で解説しますが上記流れで前補機2両三重連の連結開放が可能になります。

右方はKATOホーム前提と同じ機関区設置線形例です。 2番線は左方と同じY字ポイントもアリですが、別線形でホーム140mm延長、駅舎のある1番線だけホーム有効長2両分長くするのも運転列車自由度確保で良いと思います。 これで難問解決、やればできる!です。

【当社生野駅空撮】
線形設計したWさん中央駅(通過線7線)は当社生野駅通過線5線、留置線2線と同じ線数になりました。 生野駅の給水給炭詰所(線間72mm)がホームに置き換わった線形ですが、2-3番線、4-5番線間33mmと狭く、ホーム幅も狭いので貨物ホーム設置しても450mm幅に収まりそうです。 この写真手前から奥の駅前ビルまで450mmです。


電気設計サポート前の大仕事になりましたが、Wさんに大変喜んでいただけました、高齢者にとって誰かの役に立ってるという実感は生き甲斐になり嬉しい物です。 それにWさん選択がユニトラックxTOMIXホーム用法開発と言う思わぬ成果を生みました。 筆者一人でこんなバカな(失礼!)検討絶対しません、ブログ通じた出逢いのファインプレーでした。


ではまた。

Wさんレイアウトで遊ぶ②線路配置設計

前回記事公開前にWさんと連絡を取り、駅構内線形についても助言して欲しいと依頼されました。 電気設計のお手伝いだけでなく線路配置も、先月公開した『駅をレイアウトする』シリーズの実証実験になりました。

【木造校舎の中学校】
Wさんから機関区があり、本線渡線は検討中で未定と連絡がありました。 機関区規模は大小様々、扇形庫有無や線数問い合わせてますが、本記事作成時点で回答を得てません。


3.Wさん中央駅構内線路配置検討
Wさん中央駅線形を道床付きユニトラックで実現する方法検討です。

【前号より転載】
複線本線が複線分岐する駅構内線形は珍しいですが魅力的です。 実地踏査した訳ではありませんが、国鉄幹線同士分岐駅、例えば米原(東海/北陸)、長岡(上越/信越)、岩沼(東北/常磐)に存在したと思われます。


3-1.基本線形の検討その1
複線本線を駅構内線6線へ、『スペース効率良く』と『国鉄駅らしい線形』を両立させてどの様に展開するかを以下の条件で検討しました。

ユニトラック使用なので当然の前提条件です。
複線間隔33mm基準ですがオーバースケールなので4-5番線間は若干狭くてもOKです。
ホーム設置の3-4番線間、5-6番線間は66mmを絶対条件とします。
6線端を揃えないと基準寸法62mm整数倍レールを挟んで有効長調整ができません。
実際の駅もそうですしレイアウトでも使い勝手が良くなります、線数が多い駅では外側番線有効長が短くなる傾向があります。
機関庫/引込線等設置可能にするにはポイント置換可能カーブ組込みが必要です。

線路配置設計法は62mm間隔ラインを基準に1/10サイズ線路データを配置する方法です。 1-4番線はユニトラッ教科書通りで、6番ポイント/R718をS64/15度を介し15度クロスに接続すると1-3番線、3-4番線が66mm間隔になり右端がピタリ揃います。 2番線は1・3番線から4番ポイント3個で中央複線間隔33mmに敷設可能で、これも右端がピタリ揃います。

さて3番線クロスの左側ですが、右行本線が3番線でポイント定位とすると教科書的にはこの様に4-5番線方向6番ポイントを分岐させ駅端複線間隔が66mmになります。 渡線設置にも複線曲線移行にも困る線形です。

KATOから複線間隔33mm⇒66mm変換レール出てますが長さ310mmもあり、片側2両分有効長を犠牲にするのは個人レイアウトでは非現実的です。 スペース効率優先で半径66mm差90度カーブで徐々に広げる方法もありますが、見苦しい線形で渡線設置も不可能です。

諸条件から線形上の犠牲を払ってでも駅端複線間隔は33mmにするべきと考え、R481と4番ポイントS字配置で解決する道を選びました。 ポイント定位5番線と反位3番線のどちらを本線とするかはWさんの選択です。 3番線本線でポイント定位にこだわるならフレキ使うしかないと思います。 またクロス接続4番ポイント先に5・6番線分岐6番ポイントを接続しクロスX15Lに*マーク追加してます、ここには仕掛けがあります。

【S60道床切り欠きレール】
4番ポイント分岐側一方に道床干渉回避S60レールが必要ですが、クロスレール4番ポイント側道床を同形状に切欠加工すればS60使わなくて済みます。 この加工追加で5・6番線有効長を片側58mm伸ばす事が可能なので、条件⑤実現の為にやらない手はないと思います。

【2回分岐で駅構内レールが広がる】
また6番線は本線から2回分岐した30度ラインにしてます。 条件⑤クリアにはコレが必須で実際の駅構内にも良く見られる線形です、当社生野駅にも採用してます。 実物が8番ポイント2回分岐で15度なのに対し、模型の世界では倍の30度ですが線形としては同じです。

6番線は4番線の99mm上、条件②で98/97mmもOKです。 条件⑥でR481x2を使い6番ポイントと端数レールS29で接続すると4-6番線間が98mm、6番線直線移行部が1-4番線より2mm突出する位置に敷設可能と解りました、2mm突出はS64を使い右端を合わせ込みます。


5番線は6番線66mm下、4番線32mm上に固定で、4番線進入カーブR718なので5番線もR718でないと線形整いません。 6番ポイント側と5番線側直線長は自動的に決まり、作図結果で5番線側はS29端数レール使えますが、6番ポイント側は43mm、この線形でここだけはどうしても加工レールが必要で、S29とセットのS45.5を2.5mm短縮して使用します。 

条件⑤で各番線/ホーム有効長を揃え、例えば6両でも特定列車7両固定編成を走らせたいは良くある話で、1・2番線分岐を駅端6番ポイント側に寄せ186mmホームエンドで1番線ホームを長くするオプションです。 3-4番線にもR718対応186mmホームエンド設置可能です。


筆者は本線/ホーム有効長差が大きいゆとりの国鉄スタイルが好みですが、何を重視するかは製作者が決める事なので、線路配置の可能性提示の為に付記しました。


3-2.基本線形の検討その2
線路配置自由度を広げるには、あらゆる基本形可能性の検討が必要です。

6番ポイント直線側は4番ポイント+S60と同じ長さで置換可能です、5・6番線分岐ポイントを4番に置き換えて検討しました。 R481x2では6番線側に20mm特殊レールが必要で置換メリットが何もありません。

しかしR481とR718使うと6番ポイントと同じ位置から6番線直線が始まります。 数学的に当然で、R481+S29+R718S字カーブを180度回転させた線形だからです。 ここにR718使えると新たな可能性が生まれます。


3-3.左方線形の提案
ここまで左右反転形右方に機関区設置前提で6番線進入カーブにR481/R718を組み込みポイント置換可能にする基本線形を検討してきましたが、左方に引込線等設置計画がなければ無用の長物です、ユニトラックにはR348/R381の30度の既成レールがあります。

双方検討の結果、R348/30度使えば既成レールで綺麗につながり、直線が長くS64右端調整必要がないと解り、これをWさんへの提案線形にします。 2番線Y字ポイントは国鉄駅演出の筆者好みで、1番線有効長優先線形も可能です。 KATO近郊型ホーム248mmを直線部分に配置します、1番線と3/4番線は186mmホームエンドでホーム有効長延長が可能です。

1番線左端6番ポイント右のS248使いもう一つ国鉄駅線形演出、貨物側線と野積み線です、高さ調整必要ですが26mm幅ローカルホームを置けます。 側線外側に貨物ホームと上屋設置で左方がぐっと充実します。


3番線対称で補機連結S124U位置作図時に、X15L中央まで340mmあり補機2両の3重連が1番線で可能と気付きました。 Wさんへアイディアとして提案予定ですが、本線有効長が十分ないと重量貨物になりませんね。


3-4.右方線形の提案
次に基本線形検討の結果が問われる機関庫設置の右方線形です。 基本は左方の左右反転、ポイント2個で機関区線形の検討です。

R481を4番ポイント2個に置き換えて6線から複線に移行する構内敷地を利用する形で機関区案を作図しました、右方本線に渡線を追加しました、左行終着折返し列車用です、両渡線は更に62mm伸びます。 KATO木造機関庫利用でS186x2の縦列駐車案にしてます、このスペースでは扇形庫の大機関区は難しそうです。


3-5.右方大機関区の提案
当社は在籍車両数少ないランキング上位(笑)ですが、平均的な方がレイアウト機関区設置する場合は扇形庫にズラッと並べたいのが人情です。 大機関区にするにはどうするか、スペース不足に加え入出庫線なしで6番線折り返し大機関区は国鉄駅らしくありません。

そこで再度左方に戻りR718を6番ポイントに置き換え6番線外側51mmに機関区入出庫線設置の線形を考えました。 KATOの給水給炭ストラクチャは49.5mm線間設置可能ですので6-7番線間設置も選択可能です。

最後に入出庫線追加した右方です。 転車台と扇形庫は奥まった場所にあったという経験則に基づいた配置例です、KATO転車台は10度間隔なのでR348/20度レールを作成し、転車台進入線2本にしてみました。 後はWさんにスペース条件でアレンジしてもらいます。


これでWさん駅構内線形の悩みは多分解消、15度クロス使った特殊線形ですがユニトラックユーザー線路配置設計の参考になるし、『駅をレイアウトする』公開者責任を果たしたと思いました。 後はギャップ・フィーダー設置、制御法アドバイスで一件落着と考えたのですが、全く想定外のどんでん返しが待ち構えてました、それは次回のお楽しみに。


ではまた。