Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

電源製作③コンパレータ

電源製作3回目、今回はPWMパルスを発生させるコンパレータの設計です。 その前に、実は『親爺ぃさん』に難しくて解らんと怒られました。


例えば前回の「矩形波発振回路」と「三角波発生回路」を繋ぐ抵抗、
①何故必要でどんな働きをするのか?
②何故1kΩでは小さく1.35kΩなら良いのか?

サラッと書いてるけど読者にはサッパリ解らんと言われました。

でも詳しく説明すればする程もっと難しく解らなくなると思います。 勉強したい方は、《オペアンプ》《三角波発生回路》で検索すれば詳細な解説が公開されてます。


★こんな風に考えていただけませんか?
①スマホの中身を理解して使ってる人は1万人に1人も居ない、筆者も知らない。
②『親爺ぃさん』はどんなスケッチ書けばどうArduinoが動くか、使い方を良く知ってるけどArduinoの中身は知らない。
③オペアンプの中身を理解してるのはIC設計技術者、筆者は知らない。 何ができるか、どこを変えればどうなるか使い方を知ってるだけ、それで設計ができる。
④読者は設計しないからオペアンプの使い方を理解しなくても良い。 「この部品使ってこう組めばこうなるんだフーン」で大丈夫、それで高性能・高機能電源を製作できる。
⑤筆者は設計備忘録を兼ねながら、高性能・高機能を達成する設計プロセスを公開し、「信頼度の高い鉄道模型電源コピペソース」確立を目指す。


さはさりながら「解らんで良いから黙って聞いてろ!」と上から目線で読者に接する気持は全くありません。 設計しなくてもPWM電源がどんな構成でどんな働きしてるのか、全体のイメージを理解し電気に興味を持って欲しいのです。 その考え方で進めます。


4.コンパレータ
4-1.コンパレータって何?何させるの?
聞き馴れない言葉ですね、英語のcompareは比較する、comparatorは比較器です。

コンパレータは二つの入力と一つの出力を持ってます。 二つの入力電圧を比較し、その結果により出力がHまたはLに切り替わるデジタル動作をします。

では入力2に前回解説した三角波を繋ぎ、入力1にボリュームを繋いで回し電圧を変えたらどうなるでしょうか?、実際にはこれが速度調整ボリュームになります。

ボリュームを回し入力1が三角波下の頂点より少し高くなりました。 コンパレータ出力は入力電圧を比較し、ボリューム電圧が高い時はH、低い時はLになるので幅の狭いパルスが出力されます。 実際にはこれが常点灯の状態です。

更にボリュームを回し入力1が三角波中央になると、コンパレータ出力にはH/Lが半々、デューティー50%のパルスが出力されます。 これがPWM方式電源速度制御の仕組で、第1回第2回で形が整った三角波を作ってきた背景もご理解いただけると思います。


以上の説明に使ったボリューム電圧を、本講座では今後『Vcomp』(比較電圧)と呼びますのでご承知置きください。


★コンパレータ以降の回路は高速動作が必要
高性能PWM電源は、コンパレータから出力回路までが高速動作する必要があります。 でないと狭い幅のパルスを出して高い常点灯性能が実現できません。 求められる速度は百万分の1秒(1μsec)未満の世界です。 高速動作が必要とだけご理解ください。


4-2.オペアンプコンパレータ
オペアンプはコンパレータとしても使えるので、電源電圧12Vで実験します。 とは言う物の実は筆者も始めての経験です、PWM電源設計始めてですから。

実験回路は図の通り、前項動作説明とほぼ同じです。 追加したダミー負荷33kΩはなくても同じ動作しますが、深く考えず実験の都合で付いてると軽く流してください。


ボリュームを回すとデューティー0%=出力0Vから100%=12Vまで連続的に可変します、実際にはパルスですがテスターは平均値を表示、車両のモーターも同じです。

【横軸1目盛1/10万秒、縦軸1目盛2Vです】
最初にコンパレータ出力を電源電圧半分の6V(5.98V)に調整し波形観察しました。
①出力波形が台形波になっている。(理想は矩形波)
②出力の立ち上がり、立ち下がりに2-3μsecの応答遅れがある。(反応が鈍い)
③L⇒H、H⇒Lに11μsecもかかってる。(11μsec=9万分の1秒はトロイのです)
アララという結果でした。 性能は不十分ですがPWMです、想定範囲でした。

Vcompを下げてゆくと、出力3.3Vで台形波の上辺がなくなり三角波形になりました。

出力2V(2.09V)ではピーク電圧が11.2Vから8.8Vに下がりました。 頂上到着前に下山指示が来るので立ち下がり応答遅れが拡大し、ピーク電圧が下がるのです。

最後に出力1V(1.028V)を確認しました。 五合目まで登ったら下山指示で立ち下がり応答遅れ3.5μsec、ピーク電圧6.1V、電源電圧の半分まで下がってしまいました。


コンパレータ出力で直接モーターや室内灯を動かす訳ではありません。 しかし高速動作必要回路トップバッターのコンパレータがこの性能では高性能は望めません。


結論:オペアンプコンパレータでは高性能電源は作れない。


[註]オペアンプには数多くの品種があります、実験に使用した汎用品での結論です。 公開されてるPWM電源にはオペアンプコンパレータ使用例もあるので比較しました。


4-3.高速コンパレータ
本命コンパレータ専用ICの実験に移ります、仕様書を見る限り餅は餅屋、オペアンプより応答速度が早そうです。 って筆者も始めて触る部品、どうなるかワクワクします。

お値段はオペアンプの3倍、電源電圧問題なし、パッケージとピン配列も同じ、でも決定的に違うのが出力形式の「オープンコレクタ」です。 オペアンプは出力に何も繋ぐ必要ないけれど、このICは電源と抵抗で繋がないと出力が得られないという意味です。

で、オペアンプを実験回路ICソケットから外し、GNDへ繋いでたダミー負荷33kΩを電源に繋ぎ替え、高速コンパレータをICソケットに差して実験準備完了です。

オペアンプコンパレータでピーク電圧が下がってた出力2V(2.07V)から計測しました、バッチリです。 立ち上がり応答遅れは約1μsec、立ち下がりはほぼゼロです。

出力2Vが良い結果だったので0.5V(0.497V)に下げてみました。 ピーク電圧はわずかに低下しますが幅の狭いパルスがきちんと出ています。

【横軸1目盛1/100万秒】
これが秘密兵器のスゴイところ、横軸を10倍、1目盛1/100万秒で観察します、三角波の頂点は船底の様です。 ヨーイドンで1μsec出遅れ頂上直下で下山指示って感じです。 立ち下がり応答遅れは0.1μsec未満で文句なしです。

ここまで来たら行けるとこまでと出力0.1V(0.0988V)にしてみました。 立ち上がり1.1μsec、立ち下がり0.1μsecに応答遅れが若干拡大しましたが、出力ピーク電圧7.5V、これはオペアンプコンパレータ出力1Vより好成績です。


その後、立ち上がり特性を改善できないかトライしましたが良い結果は得られず、IC応答時間仕様が1.5μsec(標準値)なので、これでコンパレータ回路設計完了とします。


ではまた。