Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

TOMIX電気設計の検証 その3

今回は筆者が欠陥製品と断じたコンデンサポイント切替回路を解剖します。


5.TOMIX N-1001-CLの分解調査Part-3
5-1.コンデンサポイント切替回路の検証

回路ブロック図からコンデンサポイント切替部を抜き出し、各部電圧を付記しました。 構成部品の働きと各部の動作を解説します。
★逆流防止ダイオード
アルミ電解コンデンサに充電された電荷を逃がさない為に必要です。 順電圧Vf=0.57V、何とシリコンダイオードです、ポイント切替パワー向上の為にはVf=0.27Vのショットキーダイオードを使うべき場所がコレ、設計センスの悪さを如何なく発揮です。
★充電電流制限抵抗
アルミ電解コンデンサ放電後の充電電流を制限する抵抗です、12Ωで瞬時電流1A、走行列車速度に影響せず保護回路を動作させないピンポイントの部品選定です。 けなすだけでなく、良い所は褒めるのが筆者のスタンスです。
★サイドコネクタープラス端子
コンデンサは充電完了後電流は流れないと高校物理で習いましたね。 理想コンデンサはその通りですがアルミ電解コンデンサは漏れ電流があります。 と言っても数μAなのでテスター10mV計測差より2桁下で解せません、編集せずそのままにしています。
★サイドコネクターマイナス端子
前回記事計測値5.2mVはパワーパック内回路のみ動作の無負荷状態です。 1M車両走行中の消費電流は約0.3A、この端子の電圧は10倍の54mVになります。 プラス端子電圧は11.28Vでもサイドコネクターから供給される電圧は11.23Vに低下します。


5-2.何故やらない?製品改良
TOMIXが行うべき製品改良法があります、実に簡単な方法です。 コストが下がりユーザーが喜び、クレームが減る三方良しの改良です。 メーカー保証対象外になりますが、ユーザーがドラーバーと半田ごてだけで費用ゼロで実施する事も可能です。

①純正ACアダプター使用時に不要な逆接防止ダイオードを外してジャンパーします。
②逆流防止ダイオードを、①で外した逆接防止ダイオードに交換します。(極性注意)

逆接防止ダイオード0.27Vと逆流防止ダイオードVf低下0.3Vを合わせ、ポイント切替電圧が0.57V高くなります。 電流換算で1.52A⇒1.60Aになり切替確実性が向上します。


5-3.考察:TOMIXポイント切替電流バラツキの真因
ポイント切替電気講座で解説した様にKATOはある電流=磁力を境に動作・非動作が明確なデジタルで、基本講座例え話の砲丸投げアスリート『ソレノイド君』そのものです。 一方TOMIXは動作・非動作が不明確な領域が広い、カメレオン特性です。

筆者実施TOMIX実効電流測定試験条件を図にしました。 KATOハイパーD出力を可変してソレノイド電流を変化させ試験しました。 広い不安定動作領域は3倍以上あるTOMIXポイントスイッチON時間バラツキが原因と推論しました。

【『ポイント切替電気講座⑧KATOその2』より転載】
つまり、実効電流面積=切替パワーなので、それをこの様な例え話で説明しましたが、TOMIXがコンデンサ切替と確認できた現在、この推論は間違っていた事になります。

【『TOMIX電気設計の検証 その1』より転載】
その1で説明した通り、コンデンサ切替は最初の10msec程度で結果が決まり30~100msecのON時間バラツキは実効電流に関係しないからです。 この電流波形で切替成功した91/100と失敗した9/100、先端部波形は同じハズです、一体何が違ったのでしょう?。


電流波形一定なら磁力も一定です、同じ磁力で動く事もあれば動かない事もある、つまりTOMIXポイントは切替に必要な力が一定でない事になります。 分解調査未実施なので断言できませんが、KATOポイントはシンプル構造で切替に必要な力がほぼ一定である事が実験結果から容易に推定できます。 その観点から答えが見えてきました。

TOMIXソレノイドはトングレールと同時に完全選択式スイッチ切替を行う為、ポイント切替スライダーは大型で複雑形状です。 弱いバネ圧でスライダーは下に押されプラ部品同士が擦れながら切り替わり、更に動作点が10.5mm離れモーメントも働きます。


①大型スライダー:磁力で動作させる質量が大きい。
②バネ圧:スイッチ切替とプラ部品が擦れ合いで動作抵抗が変化する。
③モーメント:動作点距離が長く斜め方向モーメントにより動作力が変化する。
以上③点が切替電流バラツキの真の原因と判断しました。


筆者試験は未使用新品ポイント1.1Aで10/10、再試験で91/100でした、つまり構造欠陥により100/100にするには1.1Aでもまだ不十分なのです。 また継続使用してチリホコリが侵入すると、切替に必要な力が増える事はあっても減る事はないと推定されます。


ここも『ダメな製品は基本設計からやり直さない限りダメ』な部分です。 導通信頼性が低く、切替に必要な力が不安定なポイント改良を行わずして自動運転システムを発売するのは、ユーザーを騙す行為です。 まずメーカーとしてやるべき製品改善が先です。


5-4.チョッと待ってパチパチ切替はできない
皆さんポイント切替をどの程度のスピードで行いますか?。 筆者の例だと、動作確認で左右にパチパチッと切り替える時は0.2~0.3秒、進入番線へ複数ポイントを切り替える時は0.4~0.5秒だと思います。 これコンデンサ切替には結構厳しい条件なのです。

TOMIXコンデンサ切替回路アルミ電解コンデンサの放電充電波形です、縦軸目盛は電圧です、放電時はソレノイド抵抗7.4Ωで、充電時は電流制限抵抗12Ωで充放電されます。 一度切り替えると次の切替まで準備時間が必要な様子を表しています。 素早く操作すると80~90%の力しか発揮できず、切替不良の一因になっていると思われます。

コンデンサ容量と充放電抵抗の時定数(T)で充放電特性が決まります、容量が大きく、抵抗が高いほど充放電時間が長くなります。 満充電に近い99.3%になるまで5Tの時間が必要です、TOMIX回路はポイントスイッチON時間を含め0.31~0.38秒必要です。

論より証拠、電源スイッチオン時のアルミ電解コンデンサ充電特性を計測してみました、二つの事実が解りました、実際動作は静止状態計測とは若干異なっています。
①実際のポイント切替パワー、コンデンサ充電電圧は計測値より約0.3V低い10.8V。
②実際のコンデンサ充電時定数は若干大きく、満充電には0.38~0.45秒必要。


5-5.まとめ
以上実施した「回路分析」「電圧計測」「動作波形観察」結果をまとめます。 1M列車走行中条件、コンデンサ電圧10.75V、ソレノイド電流1.52A⇒1.45Aで表示しました。

★TOMIX制御機器サイドコネクターの現状
①確実動作に寄与する電流印加時間がわずか6msecしかなく切替パワー不足。
②ポイント構造欠陥と経時変化により切替必要電流が上昇し切替不良が増加する。
③約0.4秒以下の短時間切替には充電が間に合わず切替不良が発生する。
結論:ポイント切替確実性に乏しく、ユーザーが安心して使えない欠陥製品です。


★レンタルレイアウト店対策回路
①切替パワーが倍増し動作確実性は問題ないレベルまで向上する。
②簡単に実施可能な改善策として有効。
③ただし、充電時間が2倍となり約0.8秒以下の短時間応答性が悪い。


★筆者推奨コンデンサ切替回路
①TOMIX純正回路比較で約3倍の切替パワーで確実に切替可能。
②充電時間が約1/4(16.3msec/69.6msec)で短時間応答性が良い。


ではまた。

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