Nゲージレイアウト国鉄露太本線建設記

運転よりシナリー重視コンセプトで、昭和40年代後半の風景再現を目指しレイアウトを製作中です。映像・画像を交えながら、製作記に加え、随想や旅行記も発信します。2016年9月より延伸線建設に着手しました。

TOMIX電気設計の検証 その2

前回の続きです。 いやーっ、驚きました、度肝を抜かれ目が点になりました。


4.TOMIX N-1001-CLの分解調査Part-2
4-1.基本の『き』さえできてない回路設計
最初にシステムブロック図作成の為、各部の電圧を計測しました。

ACアダプタージャックを挿入しDCジャック入力電圧を計測すると12.13Vでした。 DCジャックプラスが電源スイッチ、マイナスがGNDに接続されていると誰しも思います。

ところが、電源スイッチ入力を計測すると10.16V、何だろこの電圧は???

電源スイッチ出力はオフ時オープンのハズなのに計測すると0V、念の為導通試験すると0Ω、なな何と電源スイッチが電源側でなくGND側に入っているのです。 小学校の理科実験で乾電池使う時はスイッチをプラス側に入れると教わりましたよね、その逆です。

アルミ電解コンデンサマイナス端子も10.16V、この値自体に意味はなく、浮かせたGNDがたまたまこの電圧になってるだけです。 ADアダプターを挿すだけ電源スイッチオフでも、TCS出力及びサイドコネクター4端子全てがこの電圧(電位)になってます。


電源スイッチオフ時はGNDかオープンが回路設計の鉄則です。 電源スイッチオフ時に機器外部出力端子に電圧が出てる製品が他にあれば持って来てみろ!と言いたいです。

改めで太鼓判押します、TOMIXの電気設計は出鱈目です!


4-2.珍妙な保護回路でポイント切替性能を落とす愚かさ
怒りと言うより呆れ果てて電源スイッチオン、付属機器接続用TCS出力を計測しました、予想は12.13Vと0Vです。 ところがここでも見事に予想を裏切ってくれました。

TCS出力プラス端子は入力より0.27V低い11.86Vでした。 0.27Vはおよそショットキーダイオードの順電圧(Vf)です、多分アレと基板裏面を見ると答えがありました。

DCジャックからのコネクタ入力(+12V)の右に黒いチップ部品が実装されてます、逆接防止ダイオードです。 20年程前までACアダプター電源ジャックに中プラスと外プラスが混在しており、破損防止の為に電源別売製品で良く使われていました。


TOMIX制御機器はACアダプターセット販売です、仮に仕様外ACアダプター使って壊してもユーザー責任、製品保証対象外です。 0.27Vは小さくありません、不要な部品コストかけて電圧落とし、ポイント切替性能を悪くしてるだけです。

続いてTCS出力マイナス端子、これも0Vではありません、5.2mVの微小電圧を計測しました、サイドコネクターマイナス端子も5.2mVです。 左下に見えている金属皮膜抵抗にいや~な予感がしました。

思った通りGNDを金属皮膜抵抗0.18Ωで浮かせてました。 この抵抗両端電圧で電流検出し保護回路動作が目的です。 5.2mVと0.18Ωから無負荷時のボード電流は29mAと解ります、1.25Aアダプター仕様で機器最大出力1.2Aの差50mAがボード消費電流分です。


試みにDCフィーダー出力をショートさせました脱線想定です。 パイロットランプが緑から赤に変わり、DCフィーダー、TCS出力、サイドコネクター全てオフになります。 電源スイッチを一旦オフしない限り復帰しません、保護回路機能は合格です。

保護回路の相方を探すと、裏側のパワートランジスタが回路を遮断していました。 検出系はその下のダイオードです。 ポリスイッチなら部品1個、0.08Ω前後で電圧ロス半分以下、パイロットランプ保護回路動作表示にこんなダサい方法しか知らないんですか?、ここも不要な部品コストかけて電圧落とし、ポイント切替性能を悪くしてるだけです。


4-3.システムブロック図作成
テスターだけでN-1001-CL基本回路構成は解りました。 上位機種はPWM制御に加速・惰行・ブレーキ・無線伝送付加で基本は同じと推定されます。 30年前回路から不器用にコピペした様な超ユニーク回路、動作しますが無駄が多く設計センス悪過ぎです。

N-1001-CLの回路ブロック図です、解析は写真撮影含めて3時間ほど、見易い図面作成に倍近くかかりました。 最初に解析した様に、左下回路出口に電源スイッチが入ります、プロでなくとも電子回路工作される方ならこんな設計しませんよね。


★過電流保護回路動作説明
①全消費電流がおよそ1.5Aに達すると、金属皮膜抵抗0.18Ω両端電圧がが0.27Vとなり、過電流検出ショットキーダイオードをオンさせます。
②検出ダイオードがオンするとパワートランジスタをオフさせ回路を遮断し、パイロットランプ赤を点灯させます。(緑は回路遮断で消灯します)
③パイロットランプ赤が点灯すると保護回路をラッチし、電源スイッチオフされるまでその状態を保持します。

【TOMIX商品企画会議】・・・HPより
筆者はTOMIXの精密金型加工技術、成形技術、塗装・組立技術は高くN車両品質も良いと評価しています、当然制御機器や新システム機器も企画会議が開かれているハズです。 しかし回路設計技術者と品質保証技術者が会議に出席してるとは思えません。 電子機器は仕様だけ国内で決め、設計・生産・品質保証を《一貫して中国メーカーに丸投げ》してるのではないでしょうか?、そう考えない限り理解できません。


《余談》
回路ブロック図書きながら『自分のレイアウト製作放ったまま、オレ何やってんでだろ』って思いました。 でも、この実態を知った以上書かずにはおられません。


ではまた。

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